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11.愛と涙とその姿-4
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やっと気付けたのに。
素直になれたのに。
こんな事になるなんて。
「好きだよ…大好きだよぉ……」
もっと早く気付ければ。
もっと早く素直になっていれば。
この言葉を、夏、本人に伝えたかった。
「三善さんは…夏の事……」
耳元で壱成がそう言う。
三善の取り乱した姿を見て、気付いたようだ。
いや、電話の時にはもう、気づいていたと思う。
壱成は誰よりも勘が鋭い男だ。
「大丈夫です……夏は誰よりも生命力が高い男ですから」
「うん……っ」
「三善さんの気持ちを聞かずにいなくなる事はしません……」
「っ……」
壱成の手も震えていた。
その言葉は、三善に伝える為の他、自分にもそう言い聞かせていると、その震えた手が教えてくれる。
壱成も不安なのだ。
メンバーの人間が、仲間が、生死を彷徨っている。
「夏……起きて………っ」
この状況が、早く終わって欲しいと三善達は願う。
早く、夏のあの笑みが見たい。
それは、三善だけではなく、夏を愛してる全ての人間がそう願っていた。
三善は壱成に肩を抱かれ、休憩所にある椅子へと座った。
そして、不安を抱えたまま、三善達はそのままその場で朝を迎えたのだった。
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