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13.笑顔の三善、泣いてる三善-4
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「三善さん……」
夏の存在が、こんなにも自分にとって大きくなるとは思ってもいなかった。
いや、予感はしていたのかもしれない。
だから、距離を取ろうとした。嫌われようとした。
でも、それでも夏は三善から離れようとはしなかった。
それが、三善の心を動かした。
動かしてくれた。
「すき………っ」
この大きな存在を、手放したくない。
消えて欲しくない。
「夏が好き……」
涙のせいで夏の表情がぼやける。
でも、三善のその言葉に、どんな反応を見せているのかは分かった。
「ま……マジっすか……?」
顔を真っ赤に染め、今まで見た事がない表情をしている。
「み…三善さんが……俺を好き……?」
夏は未だに信じられないようで、そう聞いてきた。
その言葉に、三善はコクっとゆっくりと頷き、それが嘘ではない事を告げる。
「夏が好き…夏だけが好き……」
こんな風に、誰かと深く関わる日が来るなんて、想像もした事がなかった。
それくらい、この男の存在は、三善にとって予測もしていなかった存在だった。
こんなにも、誰かを欲した事はない。
独占欲。
その言葉が似合うだろう。
絶対に、どんな事があっても、誰にも渡したくはない。
「僕の…こい…びとに……なってください……」
生まれて初めての告白は、夏に聞こえるか聞こえないかの小さな声だった。
でも、夏にはその言葉は聞こえたようで、泣きながら三善の小さくなった身体を抱き締めてくれた。
「当たり前じゃないっすか。俺の方こそ……三善さんの恋人にして下さい……。大切にします。幸せにします……必ず……」
夏の大きな身体に抱き締められて、三善の涙が止まった。
「うん……。期待してる」
けれど、満開の笑みが自然に出た時、目尻に溜まった涙が溢れ、頬を伝った。
その笑みを、夏は見れなかったけれど、この笑みは、夏によって生まれた笑みで、夏が言ってくれていた通り、夏によって三善は笑顔を生む事ができた。
それは、誰もできなかった事で、夏だからできた事だ。
でも、それはまだ内緒。
だって、まだ、この腕の温もりから離れたくはない。
「夏…ありがとう……。大好き……っ」
三善は、抱き締めてくれる身体に腕を回し、広い背中を優しく包んだ。
その背中は逞しく、けれど、震えていて、三善はその背中を優しく摩り、ぎゅっと強く抱き締める。
合わさった胸からは、夏の心音が伝わって来て、涙を誘われた。
けれど、涙はでなくて、嬉しさのあまり、笑みばかりが溢れた。
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