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「どうしたんだ?ほら、早く薬を飲んで寝てろ。」
僕はにやけてしまいそうになるのを堪えながら、慌てて薬を飲んだ。ベッドに横になると、彼が僕の手を握ってくれた。
「眠るまでこうしているから。」
「うん、ありがとう。」
彼の手から伝わる体温は心地よく、僕は直ぐに眠ってしまった。
次の日には熱も下がり、まだ咳が酷かったけれど会社へ行く事にした。
会社へ着くと、彼にメールを送った。少ししてから、無理をしないようにと彼から返信があった。
「週末、会えたらいいな。」
お礼も兼ねて夕食を作りたいと思っていた。お互いの家以外で彼と会う事は殆どない。付き合う前に彼は休日は家で過ごす事が多いと言っていたし、仕事が忙しい事は分かっているから、外へ連れ出して余計に疲れさせてしまう様な事はしたくなかった。
「後で聞いてみよう。」
もし会えるなら、それまでに風邪を完治させなければと、途中のコンビニで買った飴を口に入れた。
昼食の時間になり近くの定食屋に食べに行く事になった。
中に入ると相席になると言われどうしようかと考えていると、こちらに向かって手招きをする彼を見つけた。彼は見た事のある同じ課の人と座って居た。
「ここに座れよ。」
彼と一緒に座って居る人が振り向き、にこりと笑うと頷いた。
「あの、すいません。お邪魔します。」
恐る恐る席に着くと、構わないよと言われほっと息を吐いた。
「ここ、旨いから直ぐに席が埋まるんだよな。」
「僕、初めて来たから。」
彼はここをよく利用している様だ。
「此奴とは同じ大学の同期で、しかも同じ課なんだ。」
「初めまして。」
「あ、初めまして。」
初対面である事に少し緊張したけれど、その人はとても雰囲気の良い人で、話しやすく、すぐに打ち解ける事が出来た。
「そう言えば、お前、付き合っている子とはどうなんだ?」
思わず持っていた味噌汁のお椀を落としてしまいそうになる。そう聞かれた彼は何がと特に気にする事もなく食事を続けている。
「もう大分長いだろう?一年くらいか。上手く行っているのか?」
「ああ、上手く行ってるよ。」
そうだ、僕と彼が恋人同士だという事を知る人はいないのだから、何も心配する事はないのだ。一人慌ててしまった事が恥ずかしい。
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