アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
目立ちたがり屋の男
-
結婚式も終盤に差し掛かった。
杉は挨拶回りに勤しみ
俺たちは壁に寄りかかって高校時代のことや仕事の事を話す
「俺さぁーそろそろ学校変わるんだわぁ」
「そういや、お前、体育教師だっけ?」
「辛いぞぉー!年を重ねてくとこの職業。もてねぇーし。拓真と朝日みたいにイケメンならヨゥ」
さりげなーく、外される俺
でも、可愛いとは言われたことあるしっ
ってなに張り合ってんだよ、自分
「掘西お前、結婚してるだろ?」
朝日が苦笑いで言う
「そうだけどーまぁ…ほら?たまにはさぁー」
たまには、か
結婚してるやつだってこう言うんだから
一人しか目に入らない
そんな恋愛って難しいんだろうな
「そういや、まだ憧れてんの?」
「えっ?なに?」
「ほら、お前言ってたじゃん。一度でいいから燃えるような恋がしたいーって女子みたいなこと」
からかうような掘西に、朝日まで笑う
顔が熱くなる
まだ子供の時に言ってたことに憧れてるなんて知られたら
恥だ!
恥ずすぎる!
「べ、つに」
「ありゃ。まだ夢みてたのか?わりーわり!夢見るのは自由だもんなぁー?」
「夢なんか見てないっ!」
「ハイハイー」
相手にしない2人になんとか言い返そうとした時。
突然照明が消えた。
ざわつく室内に、リズミカルな音楽が流れる
誰かの催しだろうけど
随分遅い始まりだ
「レディースエーン!ジェントルマンっ!」
聞き覚えのある声だ。
低すぎず、高すぎず、それでいてよく通る
次の瞬間には照明が一気について
一人の男の姿を見つける
カッコつけたポーズで現れると、なぜか女の子達から黄色い声が起きた
「ご結婚おめでとう!」
感心するわ
こんなにも目立つやり方をするなんて
「ありがとう、ありがとう!」
一人一人と握手をしていく男
お前は選挙してる政治家かっ!
「さて!俺たちはこれから高校の同級生杉のため、また集まっていただいた方に感謝の気持ちを込めて踊りたいと思いますっ」
おおー
っとざわつく会場
うん?俺たち?
こいつ、今…
「さぁカモーン!朝日っ、掘西っ、吉見!」
「…うへぇ?」
完全に…巻き込まれてる?
「あっはっは!おっもしれーなぁ」
「こんな状況では断れないしな」
会場の期待のこもった視線が、俺たちに注がれていた
「あっえ!いや、でもさ…」
目立ちたくない
打ち合わせなしで何ができんのさっ!
ってか絶対笑われんじゃんか!
「腹くくれよ、蒼」
「そうそう。」
嘘、だろ?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 361