アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
再会
-
仕事場にはもともと裏口だったものををつくりかえた入り口がある。
そこが仕事場の玄関。
時計修理屋 久地(くじ)、と書かれたいつのものかもわからない古びた木の看板がいつものように揺れている。
あれも、もうそろそろ変えようかな。
でも長年見てきたそれには愛着がある。
そういえば、久地という変わった名字は由緒正しいものなんだぞと祖父が言っていた。
大切にしなさい、と。
ごめんね、じいちゃん、名前を次の世代に残せるのはもう弟だけなんだ。
女の人が無理だという以前に、自分の中の恋愛というものに対するイメージが嫌なものになっていた。
少し引っかかりのある窓を開ける。
キーッという耳障りな音が頭に響く。
ここからの眺めは昔から好きだ。
石畳みの小道にレンガの塀が続き、小さな木のベンチは花や木に囲まれている。
まるで外国の田舎のような..
な?
「うわっ!」
人が倒れている。
ここまではいい。
いや、良くはないけど。
落ち着け、俺。
見覚えのある顔。
なんであいつがここに倒れてるんだ?!
紀田巽!
今最も見たくない男の姿がそこにあった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 39