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転校生
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そいつが教室に入って来た時は驚いた。
高校生にしては高い身長に、日本人離れし
た薄茶色の瞳、それとよく似た色の癖毛。
ざわめく教室。
紀田巽というなまえのそいつは、名前順だった教室の席で俺の前に座ることになった。
前の私立高校で問題を起こして退学になったらしい、とか、
社長の隠し子だからこんな学校に入れられたんだとか、
周りのやつはうわさしていたが。
俺はそんなことより、背の高いこいつが前にいるせいで黒板が見えなづらいことに苛立っていた。
ただでさえ見にくい黒板が席が後ろにずれて遠くなった上に、やたらでかい背中。
転校してきたばかりなのにクラスメイトに囲まれて。
そして、少しかっこいいとか思ってる自分に苛立って。
そして、ある日の休み時間、思わず言ってしまった。
「前見えないんだけど」
そいつは目を少し驚いたように目を見開いた。
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