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高校
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家族の話だけはしたがらないようだったから、しなかった。
折り合いが悪いらしく、通える距離なのに一人で暮らしているらしい。
金持ちだからできることだ。
でもそれをひけらかすこともないし、明るくて人好きのする性格。
クラスメイトも巽の人を惹きつける、その振る舞いに魅了されていった。
私立高校を入学早々、退学になったのは本当のことらしいが。
クラスメイトも深く掘り下げることはなかった。
そんな巽がクラスが変わっても
「晶、メシ行こーぜ」
と教室の扉から大きな声で呼んでくれるのが誇らしかった。
そんな巽がモテていたのは言うまでもない。
しかし、時々迎えにくる赤いポルシェの綺麗な女の人。
その人がいたからだろうか、近づいてくる女の子は少なかった…と、思う。
俺も知りたかったが聞くのが怖くて聞けないまま、付かず離れずの関係は続き、3年が過ぎた。
もっとも、卒業する頃にはすっかり、好きになってしまっていたが。
こんなやつと三年間隣にいて、男を好きな俺が惹かれないなんて無理な話だ。
告白なんてしたこともなかったし、そんな勇気もない、ただの18歳。
初告白には、ちょっとハードルが高すぎる。
卒業式まであと数日か。
何もできない自分が嫌だった。
嫌だったのに結局、多分、俺は何もできない。
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