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好きなんだ
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「男を好きな自分が怖いのか、人に嫌われるのが怖いのかって聞いてんだよ」
みっともなく泣いて、中々口を開かない俺に巽はじっと視線を送るだけだった。
「…おっ、男の人をす、好きになること、は、も、うしょうが、ないって思ってる」
呼吸が乱れ、うまく言葉が続かない。
公園で形振りかまわず涙を流す男を通り過ぎて行く子供達は不思議そうに見ている。
「そうか。なら、今好きなのって誰」
巽の声は淡々と、でも確実に俺を追い詰めていく。
わかってるくせに。
高校で一番近くにいたのはお前だけじゃないか。
そっとしておいて欲しかった。
何のためにこんなこと。
出来る限りの力を込めて振りほどこうとするが、腕はびくともしない。
力で勝てるわけがない。
「お、おま…ぇ…」
しりすぼみに消えていく声。
もう知られているなら、隠したところで気持ち悪がられることは分かっているのに、なんで言えないんだろう。
期待、してるのか。
何を?
甘い考えが浮かぶけれど、どうしてもそれが現実になるとは思えなかった。
「聞こえねぇ、名前で言って?」
すこし甘く聞こえる口調に心臓が跳ねる。
なんなんだよ!
こんな意地悪なやつだったっけと考える。
顔を背けたまま、半ばヤケクソになった俺は叫んだ。
「巽が!好きなんだ!」
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