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キス
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帰ろう。
近所でよかった。
こんな顔のまま外を歩けば絶対好奇の目で見られるに決まってる。
あ、でもじいちゃんと弟の礼に見られるのは嫌だな。
近くのデパートのトイレで顔洗って、それから、帰ろう。
地面の小さな石を数えるわけでもなく目で追う。
その前にここから離れないと。
諦めと脱力感が頭をぼんやりとさせている。
立ち止まったままの足を公園の入り口へ向け踏み出そうとした時だった。
「…っ?!」
後ろからぐっと腕を引かれ、またよろめく。
急な体の傾きに耐えられず足がもつれた。
浮遊感を感じ、衝撃に備えて背中が強張る。
…………
………あ、れ
痛みを予想していた背中に感じたのは温かく柔らかい感触。
後ろから回された腕に絡め取られた体はシトラスに包まれる。
つむじに湿った息を感じた。
……な、にこれ。
馬鹿みたいに心臓が煩い。
クルリと反転させられ、巽と向かい合う。
腰に回された巽の手の感触がやけに生々しかった。
訳がわからないまま、少し上にある顔を見上げる。
でも直ぐに後悔した。
なんで、まだそんな目で俺を見てるんだよ。
真剣な眼差しから背けようとした顔は巽の手で顎を抑えるようにして固定されてしまった。
その瞳にとらえられたせいで、体がが動かなかった。
魔法にかかったように固まる。
吸い込まれそうになる綺麗な瞳が近づいてくる。
近すぎる。
唇に柔らかいものが触れた。
え、な、なに、何した今!?
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