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赤い
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フリーズした頭が柔らかい唇の感触とその熱が離れたことを認識すると同時にまた唇に熱を感じた。
今度は湿った舌が口を割って入ってくる。
熱い。
他人の舌がこんなに熱いなんて知らなかった。
いつの間にか後頭部に回された手のひらに力を感じて唇がもっと深く重なった。
何も聞こえなくなる。
手とか足とかの感覚が無くなって、ちゃんと立っているのかも分からなくなって、全ての神経が口内に集まったみたいにピリピリと痺れる。
他のことがどうでも良くなってしまうような、甘い痺れ。
口内を我が物顔でゆっくりと蹂躙していく熱い舌を夢中になって追いかける。
ドンッ
足に何か当たった。
「……はっ、はぁ…」
走った後みたいに息が上がっている。
熱い吐息を残して離れた熱を名残惜しく思いながら視線を下げると足元に落ちた青いボールが目に入った。
え……?
急に周りの騒音が耳に飛び込んできて我にかえる。
ここ、公園!
まだ昼下がりの明るい日差しと春の匂いが麻痺していた全ての感覚を呼び覚ます。
うわっ…‼︎
ドンッと両手で少し上にある肩を押し返す。
でも腰に回されたままの腕は離れない。
また、その端正な顔が近づいてくる。
「ちょっ、待てって!」
咄嗟に巽の顔を手でおおった。
ちゅ。
音を立てて手のひらに吸い付く湿った感触に背筋が粟立つ。
「ここ、外!」
違う。こんなことを言いたいんじゃなくて。
「誰も見てない」
まだ熱の抜け切らない掠れた声が耳に届いた。
ゾクリと背中が震える。
訳がわからないままなのに、いつの間にか止まっていた涙がまた頬を濡らした。
「…自分が何してるのかわかって……」
「わかってる」
「ふざけ……」
言葉は続かなかった。
怖いくらいの眼差しがそれ以上言うなと俺に伝えている。
本当に?
信じられなかった。
「や、やっぱ、へ、返事、きっ、聞かせろ」
たぶん、今までの人生で一番、今の顔が一番、赤い。
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