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カレー
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……ん?
ちょっと待てよ、圭太郎も男が好きなんだった!
なぜだか少し焦って部屋へ戻る。
咲希がニヤニヤとこちらを見ていた。
「なに?とられるかも…隠さなきゃ!とか思っちゃった?」
「…は?……な、に言ってんだ」
思ったより上擦った声が出た。
「この人、熱だしてる?眩しいだろうから目に何か、タオルとか、かけておいた方がいいかも」
圭太郎はそう言って巽の目にタオルをのせると、スタスタとキッチンへ向かい、料理を始めた。
「大丈夫だって。圭ちゃんの好みは、細くて、黒髪の美人さんだから」
「そんなやついるのか」
「はぁ?何そ…」
「俺はまだ仕事が残ってるから」
長くなりそうな気がしてすぐさま仕事場に退散した。
「この鈍感」
咲希の呟きはもちろん聞こえるはずもない。
手の上の少しいびつな形の時計を見つめる。
修理、した方がいいのか?
いや、そのままにしておこう。
頼まれたわけじゃない。
……はぁ。
……なんだよ、本当になんなんだ。
数十分、ぼんやりしていただろうか、カレーのいい匂いが鼻をくすぐった。
そういや、今日は朝から何も食べていない。
「で?誰なの?あの人」
カレーを頬張りながら咲希がこちらを見る。
「晶さん、言いたくなかったら無理に話すことないよ」
圭太郎の心配そうな声で逆に後押しされる。
「いや、話すよ」
よく考えれば、2人に自分の話、したことなかったな。
「…あいつは」
「元カレでしょ」
間髪入れずに言われてしまった。
まあ、それ以外に考えられる答えはないだろうし。
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