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プレゼント2
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近い。
もう、2人の距離は10cmもないだろう。
目の前には仕立ての良い紺のピーコートから覗くざっくりと編み込まれたダークブラウンの柔らかそうなセーター。
少し詰まった首回りから僅かに見えるシルバーのネックレスがキラリと光った。
俺はジリジリと後ろへ下がる。
「俺が一番欲しいのはお前が今、背中に隠してるやつなんだけど」
「がらくただよ」
「それを決めるのはお前じゃない。俺だ」
怒ってる声だ。
恐る恐る手に持った紙袋を差し出す。
巽が受け取った瞬間、踵を返して、逃げようとしたのは未遂に終わった。
がっちりとパーカーのフードを掴まれて、まるでライオンに捕まった小動物のような格好になってしまう。
「逃げるな」
こくこくとうなずく。
今、巽が、俺の時計を見てる、…はずだ。
恥ずかしくてそんな様子見てられない。
自分の、少し汚れた黒いスニーカーのつま先を見つめる。
「お前の家で夕飯食べていいか?」
え?
何も言わないのは流石にひどくないか、何かあるだろ、文句言うにしても、何か。
そう思って頭を上げる。
ちらりと目に入った左手首には腕時計があった。
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