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二人きり
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礼と三人で夕飯を食べた後、今日に限って礼はじいちゃんの部屋に泊まりに行った。
最近、二人きりになるのを無意識に避けていたせいか少し気まずい。
いつものように振る舞う巽に少し安心する。
俺の部屋で雑誌や漫画を読んでグダグダしていると。
違和感を感じた気がした。
……視線が、強い。
「なぁ」
短く、それでも何らかの意思を感じさせる呼び掛けに少しの緊張が走る。
「んー」
何故か漫画から目をあげるのが怖い。
「しねぇ?」
「んー」
…………ん!?
何を?
急速に上がる心拍数と反比例するように体が固まる。
……いや、なんとなく、予想は、つくけど。
仰向けで読んでいた俺はガバッとベッドから上半身を起こす。
巽はベッドに寄りかかったまま漫画を読んでいる。
な、なんだ、聞き間違いか。
最近そのことばっか考えてたからな。
「なぁ」
……っ。
痛いくらい、心臓が跳ねる。
「な、なに」
緊張感丸出しの細い声が出た。
「したいんだけど」
聞き間違いじゃなかった。
「俺は1年と2ヶ月待った」
振り向いた巽が俺を見る。
その底光りする瞳は、初めて見る、巽の男の顔だった。
目を逸らしたいのに動けない。
「本当は、付き合った日すぐにでも押し倒したかった。でもお前の家、礼いるし、俺の家とかホテルなんか行ったらお前絶対逃げるだろ」
数秒、視線を絡め取られたまま、見つめ合う。
やっとの事で身じろぎすると、ギッ、と音を立ててベッドが軋んだ。
静かな部屋に、その音は思ったより大きく響いた。
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