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笑み
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「やっぱりな。そんなことならもっと早く押し倒しとくんだった」
「え?!」
「なぁ、お前、本当にわかってんのか」
「わ、わかってる」
「いいや、わかってねぇな。全然」
「知ってる!」
「何を?」
「いや、……その」
自分でも何を言っているのかよく分からない。
「付き合ってるんだよな?」
「……」
緊張で声が裏返りそうで、頷いた。
「俺はお前が、初めてだから、すること自体を怖がってると思ってた」
「…ち、違う。俺も、……したかった。でも」
「この1年間、お前、俺が幻滅すると思って怖がってた訳?」
「……しないって、言い切れるのか」
「何、意味わかんねぇこと言ってんだ。……ったく、そうだよ、お前はこういう性格だったな」
……いっ。
耳を引っ張られた。
「信じろよ、俺はお前が思ってるよりずっと、お前のこと好きだって」
ダメだな。
俺はいつからこんなに涙もろくなったんだ。
「お前、初めてだよな」
「そうに決まってるだろ!」
俺にのしかかった巽は満足げに微笑んだ。
覆い被さられるのがこんなに圧迫感のあるものだなんて知らなかった。
内側から叩きつけるように鳴る心臓の音。
中学生で読んだ少女漫画の主人公はもっと、静かにときめいていた気がするけど。
「おっ、お前はどうなんだよ」
俺もバカだな。
わざわざ自分から傷つくようなこと聞いて。
「男は初めてだ」
……やっぱり。
そういえば、前の高校退学になったの女のせいだって言ってたっけ。
「ついでに言うと」
巽が俺の耳に口を寄せる。
「好きなやつとするのも初めて」
「……う、そ」
「嘘じゃねーって」
額に巽の唇が触れた。
思わず体が強張る。
笑ったのか、フッと巽の吐息が漏れた。
「そんなに怖がるなよ、悪いことしてる気分になる」
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