アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
一話
-
side:更科
鬱陶しい奴が嫌いだ
「更科くんってホントかっこいいね」
「更科くんってサッカー上手だよね」
なんて言いながら
どうせ心では俺を笑ってるんだ
「更科くんって感情ないみたい」
「なんか」
「「「か わ い そ う だ ね」」」
自分に好意を寄せてる奴って大体わかる
教師になってからは女子生徒の
アプローチがウザイくらいだった
女子生徒に告白されたら
こっぴどく振っていた
そんなことをしてからか
女子生徒からのアプローチはなくなった
むしろよくわからん噂が立っていた
今では女子からキャーキャー言われず
すごく気楽になっていた
そんな時に現れた俺への好意を抱く奴
男で同じく教師の矢口
最初は尊敬されてんのかなって思ってた
だけど違うらしい
俺の鋭い勘がそう言っている
男が男を好きとか気持ち悪
そう思いながらも
別になにかされるわけじゃないし
ほっとけばその内離任するだろう
「更科先生!」
英語科準備室にて
そう声を掛けてきたのは矢口だった
矢口の手にはコーヒーの入ったコップ
「よかったらどうですか?」と
そのコップを差し出された
正直、今はコーヒーの気分じゃなかった
しかし断る訳にもいかないので
「ありがとうございます」と受け取っといた
すると矢口は嬉しそうに微笑む
あー、きもちわりぃ
暇ありゃ矢口は「更科先生」と
声を掛けてきた
そしてどーでもいい話をされる
「更科先生、サッカーお上手ですね
つい見とれちゃいましたよ」
そう言われ「見てんのかよ気持ち悪」
という言葉が浮かんだが言わずに
「ありがとうございます」と返した
というかサッカー部顧問なんだし
上手いのは当たり前だから
こいつアホだなぁ
気持ち悪い上にアホとか
救いようねぇな、こいつ
心でボロカス言いながらも
矢口のどーでもいい話に相槌してやる
そのたびに矢口は
嬉しそうに表情を明るくする
そんないかにも俺のこと好きですって表情見てるとイライラする
いつからかそんな表情を
ぐしゃぐしゃにしてやりたい
衝動にかわれるようになった
そんな衝動を実行せずに月日は流れる
俺の中の矢口に対するイライラはピーク
今にでも矢口に暴言を吐きたい気分だ
そんな気分の時に限って矢口登場
「更科先生」とニコニコしながら呼ばれる
またまたどーでもいい話をされる
いつも通り相槌を打っていたのだが
俺のイライラが表に出てたみたいで
「大丈夫ですか?」と言われた
大丈夫じゃねぇよ、早く消えてくれ
なんて思いながらも
「大丈夫ですよ」と返した
それにも関わらず矢口はポケットを漁り
飴のようなものを取り出し
「イライラしてるときには
甘い物が良いらしいですよ」と飴を渡される
いらねぇ、なんて思いながらも
お礼を言い飴をポケットにしまった
あとで捨てよう
「更科先生って矢口先生と仲良いですよね」
自販機で飲み物を買っていた時
「なわけねぇだろ」
そう返したくなるような
問いをしてきたのは化学科の本浦先生だった
「そうですかね…」
「いつも一緒にいるじゃないですか」
それはアイツが付きまとってきてるだけで
俺はものすごく迷惑してるんだが
まぁ、とりあえず「そうですね」と返し
買ったばかりのコーヒーのプトルを開けた
「…仲良くないんですか?」
本浦先生の問いは
俺の全てを見透かしてる気がした
この際だから正直に言っておこう
「仲良くないですよ。
むしろ迷惑してます。」
「迷惑?」
「暇さえあれば声掛けてきて
どうでもいい話されて
ストレス溜まる一方ですよ」
俺の言葉の返しに
本浦先生は困っているようだった
少し間をあけてから
「嫌いなんですか?」と聞いてきた
答えはもちろん「はい」
「嫌いですよ。すごく」
再び返しに困っている本浦先生の視線は
何故か食堂の入り口を見つめていた
誰かいるのかと思い俺も入り口に目をやる
しかし入り口には誰もいなかった
「嫌いは好きの裏返しって言いますよ」
俺が入り口から視線を戻した時
本浦先生は缶をゴミ箱に捨て
頭を小さく下げその場を後にした
俺は口をつけてなかったコーヒーを
一気に飲み干し勢いよくゴミ箱に捨てる
何が"嫌いは好きの裏返し"だ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 11