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「荒木のせいでご飯食べ損ねた」
「お、俺のせいなのかな...?」
屋上で昼休みを過ごした後、教室に戻るまでの間に不機嫌そうな早坂くんにそう言われた。
早坂くんの右手には昼に早坂くんが食べる予定だったパンが未開封のまま握られている。
俺と喋っている最中に寝る早坂くんの自業自得なのでは......と思ったが、そんなことを言ったら早坂くんの機嫌はさらに悪くなるだろう。黙っておこう。
「眠気はマシになったけど、お腹すいた......」
「次の休み時間にでもそのパン食ったら?」
「寝てなかったらそうする...」
「次の授業も寝るつもりなのか...」
そんな他愛もない会話をしながら教室へ向かう。
早坂くんとは結構仲が良くなったと思う。
こんなにも話しているし。
「......ねえ、荒木」
「ん?なに?」
こちらを覗き込む仕草をする早坂くんに少しドキリとする。
顔に出さないように気をつけているが...心臓に悪い。
今だに、早坂くんの美貌への耐性がついていないのだ。仕方ない。
「荒木ってさ...なんで僕のことそんな他人行儀な呼び方するの?」
「え? 早坂くんも俺のこと名字呼びじゃん」
「......あ…そういえばそうだね」
納得したように前に向き直る早坂くん。
早坂くん早坂くんって言いまくっていて忘れていたけど、そう言われてみれば...確かに変だな。
こんな仲良くなったのに今だに名字呼びだなんて......。
キーンコーンカーンコーン......
「あっ、やば、チャイム...! 早坂くん、走ろう!」
「走るのめんどくさいから先行ってていいよ」
「いやダメでしょ!? 授業に五分遅れたら欠課にされるよ!!?」
「だから先行っててって...」
「あー、もう!!」
無気力...というか、
めんどくさがりすぎだろ早坂くん!!!
めんどくさがりな早坂くんの手を、俺は左手でしっかりと握り、走り出す。
早坂くんを強制的に走らせる形で、なんとか授業に間に合った。
欠課にはされなかったが、クラスの人に注目されてしまい、視線がすごく痛かった。
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