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寄り道
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午後の授業も終わった放課後。
1年はまだ部活に入ることはできないため、みんな早々に下校する。
高校生だし、友達とどこかへ寄り道して帰るのもいいだろう。
高校生らしくてなんだか心躍る。
まあ、俺にはそんな一緒に寄り道をする友達もいないから真っ直ぐ家に帰るだけだが...。
「荒木」
「...早坂くん?どうかした?」
「......一緒に帰ろう」
「えっ、う、うん!いいよ!」
まさかの早坂くんからの帰りのお誘いに、俺は驚きつつも喜んで返事をした。
すると、早坂くんは嬉しそうに笑った。
「ありがとう」
「かわ......!あ、いや、うん、どういたしまして...」
危ない。あまりの可愛さに「可愛い」と口に出してしまうところだった...。
慌てて口を押さえて、違う言葉を言う。
二人で一緒に、帰路を歩く。
まだ日は高い位置にある。
段々と夏に近づいているから、日が登っている時間が段々と長くなってきている。
「.........」
「.........」
特に話すことがなくて、両者無言になる。
早坂くんはなんで一緒に帰ろうと俺に言い出したのだろう。
何か用があったんじゃないのかな?
「.........ねえ、早坂くん?」
「なに?」
「一緒に帰ろうって言い出したってことは、何か用事とかあるんだよね?何かあったの?」
「......いや、特には...」
...?
用事がない?
予想に反する答えに、俺の頭の中は疑問でいっぱいだった。
「......友達って、放課後は一緒に帰るもんでしょ?」
少し、心配した面持ちでそう聞いてくる早坂くん。
「う、うん!そうだね」
「僕、友達は幼馴染以外にいないから...よく、わからないんだ」
...そうか。
早坂くんがいつも一人でいるのは、他人と関わるのが面倒くさいワケではなく、どう関わっていいのかがわからないからなのか。
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