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友達の作り方がわからず、どうしていいかわからないまま入学式はきた。
新しく通い始めることになる学校は大きくて、広くて、どこになんの部屋があるのか覚えるだけで一苦労だった。
意気地なしな僕は、自分から誰にも話しかけられないまま体育館で式が始まった。
式が終わると先生に教室へと案内される。
今一緒に歩いている人は全員、僕と同じクラスの人たちなのだ。
......なんだか、不安になってきた。
教室に着くや否や、僕は番号順の自分の席へと座り、手持ち無沙汰だったので偶然カバンの中に入れていた雑誌を広げた。
やっぱり無理だったんだ。
いくら遠い学校に来たとしても、僕はどこに行っても一人ぼっち。
誰も、僕のことを見てくれない。
その時だった。
僕に一筋の光が見えた。
「なにを読んでいるの?…あ、突然ごめんね。 俺は荒木慶っていうんだ!君の名前教えて?」
いかにも元気そうな声が頭上から降ってきた。
最初は自分ではない、他の誰かに話しかけているのだと思った。
でも、
もしかしたら、
僕に話しかけてくれているのかもしれない。
僕のこの姿を気味悪がらずに、話しかけてくれたのかもしれない。
そんなはずない。
今まで何度も裏切られた。
でも、でも、
やっぱり、その可能性が諦め切れず、顔を上げた。
その人は、僕のことをちゃんと見ていた。
しっかりと、瞳に僕の姿を映し、ニコニコと人懐っこい笑顔を僕に向けてきているのだ。
泣きそうになった。
僕のことを見てくれた。
見つけてくれた。
それが嬉しくて、仕方がなかった。
高鳴る気持ちを押さえつけ、変だと思われないように、平常心を保って、僕は返事をした。
「...僕は、早坂 蒼っていう......」
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