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蒼が車酔いしたことを先生に伝えた方がいいよな!
パッと思い浮かんだその考えを俺は実行することにした。
「先生!! 蒼が車酔いしちゃったんですけど!!!」
大声でそう先生に訴えかけるも、騒がしい車内では俺の大声も掻き消されてしまった。
くそっ、もう一回...!
「先生!!!」
「慶......」
俺がもう一回訴えかけようとすると、弱々しい声で蒼は俺の名前を呼んだ。
「な、何? 蒼?」
「...僕の.........鞄の中.........薬入ってる............」
「鞄の中だな!? 待ってて!!」
蒼の鞄...といえば、荷物棚に置いてしまっていたな...。
シートベルトを閉めろって言われているし、立ったりなんかしたらダメだろう。
バスが信号で止まった瞬間に......って、ここ高速道路だし! 信号ないし!
仕方が無い。
蒼のためだ...!
俺は急いでシートベルトを外し、立ち上がった。
「!? 荒木なにしてんだ!?」
騒いでいたはずの男子がそう言ってくるが、そんなのに構っている暇はない。
揺れるバスの中立ち上がったから、バランスが取れずふらふらとしたがなんとか体制を保つ。
荷物棚から大急ぎで蒼の鞄を取り出し、席に座った。
シートベルトを締めるのも忘れ、俺は蒼の鞄の中を漁る。
薬...薬......
「......! 蒼! これか!?」
「...うん」
なんとか探り当てた薬入れを取り出し、蒼に見せるとどうやらビンゴだったようだ。
薬だけじゃ飲めないだろうから、蒼の鞄の中に入っていたお茶を取り出して、薬とお茶を蒼に手渡す。
「ありがと...」
蒼は小さな声でそう言うと、薬を口に含み、お茶で薬を飲み込んだ。
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