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蒼 side
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オリエンテーション合宿の帰りのバスは、慶のおかげで眠ることができた。
慶に寄りかかっていると...少し...いや、かなり恥ずかしいけど、安心できる。
僕はあっというまに眠気に誘われてしまった。
「ありがとう、慶。...結局、帰りまで慶のお世話になっちゃったね...」
「気にしないでよ。俺が好きでやったことだし」
微笑んでこちらを見る慶。
優しい。かっこいい。
「......好きだなぁ」
「ん? 何か言った?」
「えっ、あ......なんでも、ない...」
まさか口に出てるとは思わなくて、思わず口を抑える。
不思議そうな顔をした後、また笑う慶の笑顔が僕には眩しかった。
バスを降りると、オリエンテーション合宿はもう終わり。
僕と慶は二人とも疲れていたし、荷物も重かったから今日は寄り道せずに家路に着いた。
鍵がかかっている自宅の扉を開き、中に入る。
シンと静まり返るそこは、僕を一気に現実に引き戻した。
僕は自室に入ると、すぐにベッドに体を沈めた。
寝転がるのが慣れた僕のベッドだ。
...合宿のと、違う。
合宿は僕にとって夢みたいな時間だった。
合宿にいる間ずっとずっと楽しくて、お風呂入るのも夜に寝るのも一人じゃなくて、一生分の楽しみを使い切ってしまった気分だ。
「......慶...」
静かな自室に、僕のつぶやきだけが寂しく響いた。
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