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「そうだ、蒼、親御さんって何時ごろ帰ってくるんだ?」
「...知らない...」
「え?」
親御さんの帰ってくる時間を知らない...?
「なんで?」
「夜中にいつも帰ってきてて、その時間は僕寝てるから...詳しくは知らない」
「あ、そういうことか...ってことは、今日も夜中に帰ってくる...のか?」
「うん」
「じゃあ、親御さんに蒼が熱だってこと伝えておかないとダメだな...」
こんな蒼を一人家に置いておくのは心配だ。
俺も帰らなくてはいけないし、蒼の親御さんに電話して今日は早く帰ってきてもらった方がいいよな。
そう思い、呟いていると、蒼はあっさり言いのけた。
「連絡しても意味ないよ」
「...?」
「だから、意味ないよ。 いくら電話したって、僕の両親は早く帰ってくるなんてこと絶対にしないから」
「な、なんで...」
「僕より仕事の方が大切だから」
そう言う蒼の表情は感情のない表情で......表情はないのに...
見ていて、すごく悲しい気分になった。
...そうか。
蒼は家では一人ぼっちなのか。
だから、俺と出来るだけ長くいたいと思って無理なんてしたのか...。
「一人は慣れてるから...慶は帰った方がいいよ。そろそろ暗くなってきたし」
蒼はそう言うと、にこりと寂しそうに笑った。
誰がどう見ても、これは「本当は行って欲しくない」と言ってるように見えるだろう。
...どうしよう。
俺としても、こんな蒼を一人にしたくない...。
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