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11-1side獅琉
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その日の朝はいつも通り麗に見送られ、本家までやって来ていた。
関東の大部分を仕切る東雲組の本家は獅琉の暮らす家から車で30分ほどの場所にある。
中平の運転で本家まで来た獅琉は父親でもある東雲組組長東雲狼(シノノメロウ)に挨拶をしに来ていた。
「親父、俺だ」
襖の前で声をかけると中から獅琉よりも低い声が返事をする。
「入れ」
獅琉が部屋に入ると狼は一瞬だけ獅琉を見て不機嫌そうに言った。
「麗は?」
「毎回それだな...麗は連れてきてねーよ」
この一目で極道の人間だと分かるくらい人相の悪い男は数年に1度獅琉が連れてくる麗のことを大層気に入っていた。
「...チッ...麗は元気にしてんのか?」
「ああ、相変わらず小せえままだけどな」
「そうか...たまには連れてこい」
前回連れてきたのは何年前だったかな...そろそろ連れて来てやるか...
「わかったよ。で?今日の話は?」
「ああそうだな...そこに座れ」
狼は背筋を伸ばして父親の顔から組長の顔になる。
獅琉より少し低いとはいえ長身の狼が背筋を伸ばすと迫力がある。
「何かあったのか?」
獅琉は狼の前に座って尋ねる。
「お前喜川組は知ってるな?」
「あー、聞いたとこあるかも。そんなデカくないとこだろ」
「大きさはお前の言う通り大したことないんだが...中身が問題だ」
「中身?ヤクでも捌いてんのか?」
「ああ...あそこはヤクでもチャカでも女でも金になりゃ何でも捌くクズの集まりだ」
「へぇ?そことうちが関係あんのか?」
「最近、ここの若いのが喜川からヤクを買ってたことが分かった。」
「...」
「そいつは本家で働いてる人間だったからそれなりの対処はしたが...そっちも気付けろ。うちはヤクは禁止だ。今後喜川と関わることもねぇ」
「分かった。それだけか?」
「ああ」
喜川ねぇ...あそこのトップって最近変わったんだったか?柚木にでも調べさせとくか
「じゃあ、俺は帰る。次は麗連れてくるか...」
獅琉が立ち上がったとき、ポケットに入れていたスマホが着信を知らせた。
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