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24-3
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優しく髪を撫でられるのを感じて麗は目を覚ました。
ゆっくり瞼を開くと誰かが自分を覗き込んでいる。
「ん...ぅ、しー...?」
寝惚けた頭でいつも隣にいる筈の大好きな彼に手を伸ばす。
伸ばした手は大きな手に掴まれてぐっと腕を引かれる。
いつもだったら抱きしめられた腕の中でもう一眠りするのだ。
しかし今日は逞しい腕に抱き込まれて一気に意識が覚醒した。
慣れ親しんだ獅琉のお日様のような香りではなく、知らない柑橘系の匂いがしたからだ。
...だれ?
麗が顔を上げると目の前にあったのは小麦色の肌とエメラルドグリーンの瞳。
「...っ」
「...起きた?」
聞こえるのは獅琉より少しゆっくり話す男の声。
獅琉じゃない
その事実が麗をパニックに陥れる。
身を捩って男の腕の中から逃れようとするが、反対に強く抱き締められて身動きがとれなくなる。
「暴れちゃ...だめ」
僕、この人に...
目が覚める前のことを思い出した麗の目にみるみるうちに涙が溜まる。
「れい...れい、泣かないで」
背中を摩りながらそう言う男に麗の涙がピタリと止まった。
僕の名前...知ってるの?
「なんで...?」
「...?」
麗が顔を上げて首を傾げると男も同じように首を傾げる。
この時麗は初めて男の顔をじっくりと見た。
小麦色に日焼けした肌に亜麻色の髪、スッと通った鼻筋、垂れ目がちのエメラルドグリーンの瞳は不思議そうに麗を見つめてくる。
しばらく二人で見つめ合っていると、男は何かを思い出したかのように麗を抱いたまま起き上がり、ベッドから下りてどこかへ向かった。
「れい...なにか、たべる?」
向かった先はキッチンだったようで、何か食べるかと麗に訊ねる。
麗は「いらない」と首を振った。
しーがいないと、お腹すかない...
そんな麗を見た男は不機嫌そうに眉を顰めた。
「どうして...?れい、昨日から...食べてない」
昨日...?そうだ、僕いつからこの部屋にいるんだろう?
麗は改めて自分がいる部屋をぐるりと見回した。
麗が生活していた部屋の内装は麗に合わせて白で統一してあったが、この部屋は黒色の家具で統一されていた。
やっぱりここは違う...
「かえりたい...っ」
そう言って再び泣き出した麗を、男は困ったように見つめて強く抱きしめ、言った。
「...だめ」
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