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26-1side柚木
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一睡も出来ずに過ごした夜を越えて翌日、早朝から獅琉は黒葛からの連絡を待っている。
現在の時刻は午前10時。
「...チッ」
イライラと舌打ちを繰り返しながら黒葛を待つその様子に、柚木はビクビクしながら傍らで待機していた。
「...柚木」
地を這うような低い声で名前を呼ばれる。
「...はい」
「まだか」
「まだです...」
もう朝から何度このやり取りをしたことか。
ふぅ、と小さくため息をついて少しの間目を閉じる。
思い浮かぶのは麗の姿。
若が荒れるのも分かる...あんなに大切にしている麗さんが居なくなったんだから。
同じ家に居ながら、守れなかった自分が腑甲斐無い...
俺がもっと麗さんのことを気にかけていれば...
ちらりと獅琉の顔を伺うと眉間には深い皺が刻まれている。
多分、これでも色々我慢してるんだろう。
その分、犯人を見つけた時が怖いけど...
二人の間に決して心地いいとは言えない沈黙が流れる。
麗さん...早く帰ってきてください...
「...柚木」
再び獅琉が柚木を呼んだ時、廊下から大きな足音が聞こえてきた。
ドタドタと走っているような足音は2人がいる部屋の前で止まったようだ。
「...だれだ」
獅琉が口を開くのとドアが大きな音を立てて開くのはほぼ同時だった。
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