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26-7
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暫く目を閉じてじっとしていた麗。
頭の痛みも肩の痛みも酷くなるばかりで、本能的に意識をシャットダウンしようとしている。
「...ぅ...」
部屋の外から聞こえる争っているような音はどんどん激しくなっているらしい。
はやて...なに、してるんだろ...
朦朧とした意識の中では上手く思考回路が回らない。
まぁ、いいか...と麗が意識を手放そうとした瞬間、一際大きな破壊音と誰かの足音。
はやて...もどって、き...たの...?
「れいっ!!!」
次の瞬間、耳に入ってきたのは聞き間違える筈なんてない、恋しくて恋しくて聞きたくてならなかった大好きな人の声。
「れいっ、麗...っ!大丈夫か...っ」
「...っ、し...ぃ...?」
重い瞼をなんとか持ち上げてうっすら見えたのはやはり、待ち望んでいた人で。
どうしてここにいるの?はやてはどうしたの?ぼくのことをさがしにきてくれたの?
聞きたいことは沢山あったが、それよりも獅琉に触れたくて。
大好きな獅琉の体温を感じたくて。
それなのに怠い体は少しも言うことを聞いてくれない。
「麗、すぐに家に帰って山瀬に治療させる...っ、遅くなってごめん...っもう少し、頑張ってくれ...っ」
獅琉が麗の頬に触れてくれたことに安心してじわりと涙が滲む。
しーだ...しー、本物...夢じゃない...
そんなに悲しそうな顔をしないで...僕、しーが来てくれただけで嬉しいんだよ...?
いつもみたいに笑ってよ...
やっと獅琉に会えたのに、麗の景色はどんどんぼやけて意識は暗い底へ沈んでいく。
「...いっ...れい...!」
獅琉の声もどんどん遠くなる。
だ、め...これだけは伝えなくちゃ...っ
「しー、ありがとう...だいすき...」
呟いた言葉がちゃんと獅琉に届いていますようにと願って麗の意識は途絶えた。
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