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27-1side獅琉
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麗を連れて帰ってすぐに待機していた山瀬が診察を始める。
その間獅琉はずっと傍でそれを見守っていた。
「脱水症状が出てるかな...連れていかれてから飲まず食わずだったんだろうね、麗くん起きたら泣くかもしれないけど点滴しておくね。」
診察しながら獅琉に説明していく山瀬の手際はいつも以上にてきぱきとしている。
「目立った傷は特にないんだけど...1箇所だけ...ここ、わかる?」
山瀬が指差したところを覗き込むと、傷1つなかった筈の麗の左肩に大きな傷が出来ていた。
そこは皮膚が抉れ、目を覆いたくなるような状態だった。
「...なんだよ...これ...」
「多分...噛まれたんだと思う。どれだけの力で噛んだらこんなになるのか...っ、きっとすごく痛くて血も沢山出たんだろうね...これ、跡残っちゃうと思う」
「...は...?っざけんなよ!!なんで、麗が...っ!!...殺す」
抑えきれない隼への憎悪で部屋を出て行こうとする獅琉を山瀬が静かに止める。
「獅琉、どこ行くの」
「置いてきたあのクズ始末しに行く」
血走った目でそう答える獅琉に山瀬は呆れたように言った。
「馬鹿なこと言わないで。麗くんが目覚めた時に誰が傍にいてあげるの?」
「...」
「気持ちは分かるけど、今は麗くんが最優先でしょう?」
「麗は...いつ、目覚ますんだ」
「疲れてるだけだから、明日にでも目覚ますと思うよ」
「...分かった」
「お前も休め」
「いや...麗が起きるまでは傍にいる」
「...無理すんなよ」
獅琉は分かったと適当に返事をして処置が終わった山瀬を帰らせ、麗の枕元に座った。
首輪の跡や、肩の包帯が痛々しいが帰ってきた時より少し血の気が戻っているその顔を見て安心する。
「ちゃんとここにいるから、いっぱい休んで...早く元気になれ...」
麗の額にキスを落として囁いた。
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