アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
33-1side獅琉
-
麗を初めて双子に任せた日、少し不満そうにしていた柚木を山瀬に任せて、本家へと来ていた獅琉。
部下へ指示を出しながら業務をこなし、スマホを気にする。
あいつ...大丈夫か...?
連絡がないから吐いたりはしてねー筈だけど...
遅々として進まない時計に苛立ちながら仕事を進める。
周りの人間が獅琉が苛立ってることでビクビクと怯えているのだが、気にかけている余裕もない。
夕方になり、全ての仕事を終えた獅琉は麗が待つ家へと車を走らせる。
泣いてなきゃいいけど...
家に着き、早足で部屋へと向かう。
ドアの前に立つとドアのすぐ側に人の気配を感じる。
今日も待っててくれたのか...
ドアを開けるとやはり、小さな麗がちょこんと立っていた。
「しー!!」
獅琉が「麗」と名前を呼ぶ前に勢い良く抱き着いてきた麗。
「...っと...、麗...あぶねーだろ」
少し後ろによろけながらも麗を受け止めた獅琉は麗を抱き上げ、部屋に入る。
「しー...しぃっ」
「ただいま、麗。いい子にしてたか?」
「ん、ぼく...いいこ...」
「褒めて」と言わんばかりの表情の麗の頭を撫で、ふと顔を上げると麗の世話を任せていた2人と目が合った。
「「お疲れ様です」」
獅琉に向かって深くお辞儀をした2人に声を掛ける。
「あぁ、助かった。何もなかったか?」
「はい。麗さんすごくいい子でした」
麗を見て少し微笑んだ祈が答えた。
「そうか、今日はもう上がっていいぞ。明日もたのむ」
「「はい」」
「じゃあ、麗さんまた明日」
「またな」
「ん、いのり、のぞ...ばいばい」
いつもだったら獅琉に催促されるまで双子に挨拶を返さない麗が、ふにゃりと笑いながら自ら手を振っていふことに少し驚く。
そういえば...今日は泣いてないな...
今まで獅琉が帰るといつも泣いていた麗だが、今日は瞼も腫れていないし涙の跡もない。
「お前、祈と希と仲良くなれたのか?」
双子を見送った後、スーツを脱ぎ、シャツのボタンを外してネクタイを緩めながら麗に訊ねた。
獅琉の足元にしゃがんでいる麗はぱっと顔を上げて「うん」と嬉しそうに答える。
「いのり...のぞ...すき...」
「...ふーん」
はにかんでいる麗に安心する反面、どろどろとした感情が獅琉の中に生まれる。
好き...ね...
気に入らねーな
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
163 / 374