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それぞれの思わく 4
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その日の放課後、一つの部屋に大勢の人間が集まっていた。
そこにドアが開けられ一人の少年が入って来た。
少年はそのまま中央まで歩いていくと、ゆっくりとした動作で前を向いた。
全ての視線が少年に集まる。
少年は一度全体を見渡すと静かに口を開いた。
「皆集まってくれてありがとう。今日集まってもらったのは今の学校の現状について・・・・。皆の率直な意見を聞かせてほしい」
日本人形のような真っ黒な髪、一見少女と見間違う容姿。
会長親衛隊隊長兼親衛隊総隊長――櫻川碧。
「我々副会長親衛隊はもう我慢なりません。毎日の食堂での出来事。ショックで学校に来れない子もいます」
「書記親衛隊も同じです。来須様のあんな姿見たくありません!」
「会計親衛隊だって!」
次から次へと堰を切ったように溢れ出る不満の嵐。
「全てはあの編入生のせいっ!少し顔が良いからって調子にのって!何様のつもりっ!」
「櫻川様の方がずっとお綺麗なのに!」
「生徒会の皆様見る目がないんだよ!」
「自分の好きな方をそんな風に言うもんじゃない。そんな貶すような言い方、親衛隊のすることじゃない」
「す、すいませんっ!」
一つ息を吐き櫻川はこの状態をどう収拾しようか思案した。
そんな中、聞こえてきた言葉に眉をしかめる。
「でもあの編入生よりムカつくのは長山太一だ!」
その言葉に同意する声が幾つも上がった。
「平凡のくせに生徒会の皆様に近づいて!許さない」
「しかも隔離クラスなんでしょ?尚更生徒会の皆様に近づくなんて許されることじゃない!」
「総隊長、制裁をする理由は充分だと思いますが」
「・・・・・制裁は許可できない」
櫻川の言葉に室内が一斉にざわめきだした。
「何故ですかっ!」
「制裁をする理由が見当たらない。生徒会の皆様と一緒に食事をとった、それだけの理由で制裁を行うことはできない」
「充分な理由だと思います!」
「親衛隊の理念は生徒会の皆様が穏やかに過ごせるよう静かに見守ること。もう少し様子を見てからでも遅くはない。焦ってことを起こせば自分の首を絞めることになる」
「・・・・・・わかりました」
「ありがとう」
安心したように朗らかな笑みを浮かべる櫻川に室内の者は皆目を奪われた。
大和撫子と表される櫻川碧は、その容姿とは異なり言動は大変男らしかった。
そんな中、時折見せる笑みは見るもの全てを魅了し、正に大和撫子を体現していた。
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