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秘密 1
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チャイムの音を遠くに聞きながら長山は木々の間を歩いていた。
教室に戻ってもあのクラスじゃどうせ授業なんてない、それならば自室に戻った方が有意義な時間を過ごせる。
校舎が2つあるように寮も2つあり、本校舎の生徒と隔離校舎の生徒とは完全に別けられている。
『差別ではなく区別です』は創設者の言葉。実に便利な言葉である。
だが長山は今の隔離校舎の環境をわりかし気に入っている。
自分の思うようにのんびり過ごすことができるから。
ゆっくりのんびり歩いているといつの間にか自室の前に立っていた。
中から微かに声がする。
ドアノブに手をかけ開けるとより鮮明に聞こえる幾つもの声。廊下を歩いていくと徐々に大きくなる。
共同スペースへと続くスライドドアを開けた。
横にソファがあるにもかかわらず、地べたに座りトランプをしている人間が4人。
その内の1人、矢崎と目が合った。
「あっ、おかえり~」
その声に釣られて柏木と澤城が顔を上げ、脇坂が姿勢を正した。
長山は自分を出迎えた声には答えず、そのまま部屋の奥へと進んでいく。
歩きながら、今まできっちり締めていたネクタイを外し首元を緩める。
奥にはキッチンがあり、その前にはテーブルと椅子が4脚置いてある。
その内の1つに腰を下ろした。
先程までトランプに熱中していた4人は、その様子をどこか緊張した面持ちで見つめている。
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