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アメと鞭
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「一時間目終わったよ。碧は教室戻りな」
「え、でも・・・・」
「総隊長が二時間ぶっ続けで授業サボるわけにいかないでしょ」
櫻川の瞳に浮かぶのは困惑と悲愴感。
もっと長山のそばにいたい。
本当は1秒だって離れていたくないのに。
そんな気持ちが表れている。
それを脇坂が鼻で笑う。
しかし人を呪わば穴二つ、人の不幸を笑えば必ず自分に返ってくるもので・・・・。
「清太郎は少し黙る。五月蝿い」
「・・・・・・・・・・・・はい」
先まで言い争いをしていた2人は今じゃ飼い主に叱られた犬のごとく長山の前で肩を落とし仲良く項垂れている。
そこに聞こえるチャイムの音。
「ほら碧」
長山に促され櫻川は立ち上がった。
「太一さま、僕は僕の持ちうる全てを使い貴方をお守りします。これは誰に強制されたわけでもない、僕の意思です」
櫻川は長山に深く頭を下げた。次に顔を上げた瞳にあるのは強い意思のみ。
そのまま教室を出ていこうとする櫻川にむかって長山は声をかけた。
「碧、今日部屋においで。夕食一緒に食べよう」
かけられた言葉に櫻川は思わず振り返った。
その顔は驚きで満ちている。
「はいっ!」
しかし次の瞬間には花がほころびるような笑顔を見せるのだ。
― 躾に大切なのはアメと鞭の使い分け ―
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