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続・バトル勃発
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櫻川が教室から去っても、長山はガラス戸に映るその影を目で追っていた。
脇坂はそれを苦々しげに見つめ、次いで長山を飼い主に許しを請う犬のごとく静かに見つめる。
「あいつに同意するわけじゃないけど使えない犬は早く捨てちゃえばいいのに」
矢崎が言い、それに澤城が言葉を重ねる。
「使えない犬を飼っていても時間のムダじゃない?」
それを黙って聞いている脇坂ではない。
「てめぇら、さっきから聞いてれば言いたい放題言いやがって!喧嘩売ってんのかっ!」
「売ってる、って言ったら?」
「ムダだよ真也。駄犬にそんなこと言ったって、馬の耳に念仏、余計に吠えるだけなんだから」
「あれ、圭介諺なんて知ってたんだ?」
「ちょっと~馬鹿にしないでくんない?それぐらい俺だって知ってるし~」
ガッシャャャン!
矢崎と澤城があれやこれやと言い合ってると、それを咎めるように大きな音がその会話を遮った。
「人のこと無視してんじゃねぇよ」
怒気を含んだ声を発する脇坂の隣には無残な形で変形した椅子が転がっている。
睨み合う脇坂と矢崎、澤城。
その間を刺々しい空気が支配する。
そこに本日何度目か分からない声がかけられた。
「五月蝿い」
刺々しい空気を一瞬にして消しさったのは、鶴の一声もとい長山の一声だった。
その長山は、変わらずガラス戸を眺めているが、先程と違い目付きが鋭くなっている。
「来るぞ、異分子が」
ドタドタドタと廊下を走る不躾な大きな音。
「お前たち、まだ動くなよ」
さぁ、喜劇第三幕の開演だ
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