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break time
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長山は好き嫌いがはっきりしている。
賑やかなのは好き、 騒がしいのは嫌い。
自分の中にズカズカと踏み込まれるのは嫌い。
一方的に自分のことばかり喋る奴は嫌い。
自分の考えを尊重してくれる人は好き。
自分の考えを押し付けてくる奴は嫌い。
つまり騒音発生機こと転入生こと遠山葉瑠夏は全てにおいて長山の嫌いな人種なのである。
しかしながら、長山が遠山に近づく理由はただ一つ。
自分の欲望を満たすために他ならない。
享楽主義者というわけではないが、それに近い考え方を持っている。
自分が楽しめるなら他はどうなっても構わない。
それが長山太一であり、親しい人間はそれを理解しているから長山のなすことに口は出さない。
一定の距離を保ち見守っていてくれる。
長山自身もそれが分かるからどうしても親しい者には甘くなってしまうのだ。
そんな長山は今図書室へと向かっている。
面白いからといって四六時中、あの五月蝿い集団の頭の悪い会話を聞いてると息が詰まり、こちらまで頭が悪くなってしまうから。
長山曰くちょっとした小休憩らしい。
ちなみにこの学校、マンモス校らしく図書室が二つある。
だいたいの生徒が使うのが第一図書室。
こちらは一般教室棟の中にあり、行きやすく使いやすい。
新刊なども発売されたその日に棚に並べられている。
昼休みなどには大勢の生徒が利用している。
もう一つが第二図書室。
こちらを利用するには一度校舎から出て遊歩道を歩き森を抜けなければならない。
森を抜けた先、レンガ造りの建物が第二図書室だ。何十年前の古書から有名文豪たちの文学小説。
何年も前の生徒会とその功績を纏めた学校の創成記録集。
新聞など、ないものはないのではと思うほどズラリと所狭しと本が並べられている。
ただ司書もいないので利用する生徒はほとんどいない。
だからこそ静かな時を過ごせる、長山のお気に入りの場所なのである。
扉を開けると独特の匂いが充満し、掃除も行き届いていないのだろう所々埃を被っている。
されど長山はそんなことお構いなしに奥へと進んでいく。
窓辺の陽当たり最高の場所に置かれた机と椅子。
なんの音もしない、静かなこの場所で時間も忘れ本を読むのが長山の一等好きな時間だ。
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