アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
これからのこと
-
「でも僕も軽く制裁はするよ。何もしないとあの双子五月蝿いからね。だけど無茶だけはしちゃダメだよ?太ちゃんに何かあったら僕本当に――」
「大丈夫だよ、柚季が心配するようなことは何もないから」
再び仄暗い気配に支配されそうになった瞳が、長山の言葉で光を取り戻した。
ぽんぽんと軽く頭を叩くように撫でると、その瞳が嬉しそうに細められる。
阿南が出ていった後の部屋はとたんに静かになった。
長山以外の五人は眉間に皺を寄せなにやら難しい顔で考え込んでいる。
「瑞季、コーヒー」
「・・・・はいはい」
そんな中マイペースに動き出す長山に軽く息を吐きつつコーヒーを準備する。
使い慣れた自分の部屋のように何処に何があるのか分かっているのかテキパキと長山好みのコーヒーをマグカップに淹れていく。
「はい、どうぞ」
「ありがと」
まずは香りを楽しみ、一度フーと息を吹き掛け口に運ぶ。
「―うん美味しい」
倉橋は壁に凭れふふっ、と綺麗な顔で笑うとちゃかり淹れた自分用のコーヒーを飲む。
「これからどうするつもりだ」
大好きなコーヒーを飲む長山にとっての至福の時間を邪魔することなど誰にも出来ないが、そこは柏木、一番付き合いも長く、性格も理解しているからか臆することなく話しかける。
「なにが?」
「馬鹿どものことだ。このまま野放しにしておくつもりか?」
「生徒会が親衛隊を動かし制裁を行うのは検討ついてた。思ったよりも早かったけどな。あの宇宙人が余程大切らしい。明日からは本格的に制裁が行われるだろうな」
「そしたらどうするの~?甘んじて制裁を受けるなんて生易しい性格してないでしょ~?」
「当たり前、できるだけ回避するさ。制裁が失敗すればいずれ痺れを切らした生徒会が自ら出てくる。その瞬間やつらはこの小さな箱庭ですら頂点でいられなくなる」
「悪い顔してる」
「でもあのクソ猫に同調するわけじゃないっすけど、もし何かあったら俺、自分を押さえる自信ねぇです」
「清太郎、まだ "待て" だ。俺が言うまで我慢だよ。できるよね?」
「・・・・はい」
良い子、と自分よりずいぶん高い脇坂の頭を、まるで愛犬を愛でるかのようによしよし撫でる。
脇坂は、長山がやり易いように少し屈んで気持ちよさそうに撫でられている。
その様子を人一人殺せそうな勢いで睨んでいるのは他の四人。
「そうだ、真也、一つ頼まれてくれる?」
「え、なに?」
「風紀委員長、鳴海公平について調べてほしい」
「いいけど、なんで?」
「ちょっと気になることがあるんだよ」
「了解」
さぁ明日から本格的に始まる長山太一への制裁。
それをどう躱すのか。
そして、いつ気づくのか。
自分達が、一人の平凡な生徒の掌で操られていることに。
賽は投げられた
ゲームスタート
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
46 / 128