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モブ達の憂鬱
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本校舎2階に位置するある教室は、5月中旬突如嵐に巻き込まれた。
それから1ヶ月・・・・・
なんだまだ1ヶ月しか経ってないのか
それはクラス全員の共通認識だった。
遠山が来て一番の変化といえば。
学校の権力者達がこぞってこのクラスに押し寄せることだろう。
最初は人気者達の登場に浮かれていた周囲も、次第にギスギスした空気を纏うようになる。
巻き込まれたくない者は遠巻きに眺め。
親衛隊に属する者達は、恨みの籠った眼差しで射殺さんばかりに遠山を睨み付ける。
遠山が来てからというもの一度も授業らしい授業が行われていない。
毎日のように人気者達を引き連れてやって来ては授業の妨害をし出ていく。
一人で大人しく座っていても結局後から来た人気者達と騒ぐだけ騒いだら出ていく。
教師陣も権力に屈し何も言わない。
最終的に出ていくなら初めから来なければいいのに
それもまたクラス全員の思うとこであった。
そして今日もまた嵐が掻き回す。
「・・・・もーいやあいつマジ無理。毎日毎日同じことばっかして飽きないのかよ」
「加えてあの声・・・・・俺いいかげん頭可笑しくなりそ」
「お前らはまだいいじゃんよ。俺なんて席あいつの横だぞ?あの声を真横で聞いてみろよ、本気で耳イカれるって。しかも会長達ものすごい目で睨んでくるしよ?誰もあんな猿抱きたいとか思わねぇわ」
「てかさ、この空気どーにかなんない?ほらあそこ、親衛隊の可愛子ちゃん達が怖い顔しながら何か企んでる。俺少し前のほんわかした雰囲気けっこう好きだったんだけどな」
はぁ~
誰ともなくため息が溢れ落ちる。
「それより聞いたか?」
「何を?」
「生徒会仕事してないんだってよ」
「やっぱり?そりゃあそうか、毎日あれの相手してるもんな。そりゃあ仕事する暇ないわな」
「じゃあ、誰がしてんの?」
「風紀が肩代わりしてるらしい。ダチが言ってた」
「へぇ、風紀も大変だな」
「でもずっとこのままって訳にもいかなくね?」
「だったらどうしろつーの?俺達一般生徒には何もできなくね?」
「まぁなー・・・・」
「とりあえず俺は一度あの猿ぶん殴りたい」
「止めとけって、そんなことしたら生徒会に何されるか解んないぞ」
「バカ、俺だってそんな命知らずなことしないって」
「あー・・・でもマジであの猿をぶん殴ってくれる奴いねぇかな?」
「いるわけねぇだろそんなもん。もしいたら俺はそいつを勇者だと讃えるね」
「それもそっか」
乾いた笑いが漏れ、またため息が溢れ落ちる。
「・・・・・・あ、予鈴」
「さてと、今回は静かに授業を受けられるかな」
「あれ、お前そんなキャラだっけ?それに次お前の嫌いな数学じゃん」
「バァカ、こんだけ授業が潰されると恋しくなるんだよ。それが例え嫌いな教科でもな」
ひとまず解散し、各々の席へと着く。
一時の静寂を噛み締めて。
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