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崩れる
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遠山葉瑠夏が転入してから早数ヶ月。
つまり "飽きた" と言ってからも長山は未だ動いていない。
5月下旬、新入生歓迎会が開催された。
もちろん企画から実施にあたるまで全てを取り仕切ったのは風紀委員会だ。
それをさも生徒会は自分達が企画したかのように振る舞った。
しかし、いくら上手く立ち回っていても必ずボロは出る。
所々で進行にもたついたり、あたふたしたりすれば一般生徒からも不審な目を向けられる。
そんな中、件の遠山はというと新入生の為の舞台にも関わらず、ゲームで活躍しMVPに選ばれた。
といっても選んだのは生徒会だが。
しかも優勝者に与えられる賞品が、『生徒会にお願い事を叶えてもらえる権利』という訳の分からないもので、一般生徒からしてみたら、そんなくだらない物よりも『食堂を一年間無料で使える権利』をくれた方がよほど有益なのだが。
とにかくそんな私利私欲に走ったくだらない物のために、舞台上の役員と遠山のドタバタ劇を見せられる生徒達の身にもなってもらいたい。
一般生徒はともかく、はじめてその様子をまじまじと見た親衛隊は愕然とした。
蕩けきったアホ面で遠山に構う生徒会の姿。
これは自分達が崇拝し、尊敬してきた人なのか
これは誰だ
今まで自分達が見てきた人達はどこに
ガラガラガラ
今まで積み重ねてきたものが派手な音を立て崩れさるような気がした。
じっくり観察し、見極める。
ソレが自分を楽しませてくれるかどうかを。
そして、好きなものは最後の最後まで我慢する。
より楽しむために。
だが奴等は期待はずれだった。
これ以上先伸ばしにしても楽しみは一つもない。
興醒めだな
そろそろ動くか
だが、その前に・・・・・
長山は、呆然と舞台を見ている親衛隊の様子を遠くから眺め一人うっすらと笑みを浮かべた。
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