アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
知らぬ存ぜぬ
-
何も知らない遠山と生徒会が学校に姿を現したのは呆れることにそれから2日後のことだった。
そしてリコールされたことも知らず今日も好き勝手に振る舞う。
その姿は酷く滑稽だった。
もはや彼らを気にする者は誰もおらず、生徒達は皆彼らが何をしても関心さえ持たず、存在しないものとして扱った。
そんな生徒達の様子に疑問を持つこともせずこれまで通り食堂で騒ぎ、生徒会室に入り浸る姿は愚かとしか言いようがない。
「あっ!これスッゲー美味い!食べてみろよ!」
「本当ですね。美味しいです」
「おい葉瑠夏、俺様のも食べてみろ」
「「僕達のもあげるよ~」」
もはや資格がないにも関わらず役員専用席に座り性懲りもなく繰り広げられる茶番劇。
長山はそれを一般席にて一般生徒に混じり眺めていた。
普段は脇坂が作った弁当を静かに教室で食べているが(遠山がバタバタと誘いに来たらまた別だが)そのためいつもなら態々隔離校舎から離れている食堂に来ることなど殆どない。
だが、あの裁判からはじめて姿を見せた生徒会、必ず何かが起こる。
そんな愉しいことこの俺が見逃すはずがない
生徒達が専用席の喧騒をよそに自分達の食事を各々楽しんでいるなか、長身の男が1人静かに食堂の扉を開けて中に入ってきた。
鳴海だ。
鳴海は自分に集まる視線など気にすることもなく淡々と専用席へと続く階段を上っていく。
生徒達はその様子を食事の手を止め見つめ、長山はこれから起こるであろうことを想像し緩みそうになる口許を引き締め眺めた。
鳴海の姿を認めた生徒会はあからさまに嫌そうに顔をしかめた。
その顔には、なんでお前がここに、といった感情が見てとれる。
不穏な空気が流れるなか空気を読まないのが遠山であり、
「なぁ!お前かっこいいな!名前なんていうんだ!俺のことは葉瑠夏って呼べよな!」
初対面の人間にも馴れ馴れしく、年上であろうと敬語などいっさい使わない。
「止めろ葉瑠夏、こいつと口きくんじゃねぇ。こいつは感情なんてねぇただの鬼だ」
「なんでそんな酷いこと言うんだよ!そんなこと話してみなくちゃ分かんないじゃないか!あ、分かったあんた寂しいんだろ!寂しいから人に冷たくするんだろ!ちゃんと口に出して言わないとダメなんだぞ!でも安心しろよこれからは俺がいて」
「桐生、お前にこんな趣味があったとはな」
「おい!俺を無視」
「・・・・なにしに来やがった鳴海」
「お前達に判決を下す」
「はぁ?なに言って」
「おい!俺を無視するなんてサイテーだぞ!」
自分を蔑ろにして話が進むことに憤り声を上げる。
「ああ、悪い。だがこいつは血も涙もないような奴だから近づくな」
「なんでそんな酷いこと言うんだよ!」
桐生の忠告を無視して遠山は鳴海の前まで走り寄る。
「あんたの名前は!俺が言ったんだからそっちも言うのが常識だろ!」
「ふん、猿に常識を語られるとはな」
「・・・・え」
一瞬何を言われたか理解できず遠山にしては珍しくなにも言えずただ自分を冷たい瞳で見下ろす鳴海を下から見上げた。
「あなた自分が何を言っているのか解っているのですか。失礼にもほどがあります。葉瑠夏に謝ってください」
「「そうだよー葉瑠夏が可哀想」」
「・・・・・サイテー」
「鳴海てめぇ」
自分を擁護する声に我にかえり大声を張り上げる。
「そうだ!サイテーだ!謝れよ!」
距離感などない声に顔をしかめる。
「お前はもう少し静かに喋れないのか。頭が痛くなる」
「なっ!失礼だぞ!謝れよ!」
ギャーギャー五月蝿い遠山に心底呆れながら右手を上げた。
すると階段を素早く上ってきた2人が遠山の体を押さえつけ拘束する。
「おい!なにすんだ!離せよ!」
「葉瑠夏っ!」
逃れようと暴れる遠山に、咎める柳。
「しっかり捕まえておけよ」
「はい」
風紀委員の中でも屈強な体を持つ彼らは実行部隊、いくら暴れてもそれは無意味でしかない。
「さて五月蝿い猿はいなくなった。俺も暇ではないものでな。本題に入らせてもらう。先日、お前達はリコールされた。よって全ての権利を剥奪する」
「「はぁ!!」」
「・・・・意味・・・・・わかんない」
「そうです、私達がリコールなど。どういうことか説明しなさい」
見に覚えがないとしらを切る。そればかりか上から目線で説明を求める。呆れてものも言えない。
「それならば聞くが、お前達今まで何処にいた。始業式にも出席せず何処で何をしていた」
「そんなことてめぇには関係ないだろーが」
「関係ない?本来お前達がやる仕事を肩代わりしていたのは誰だと思っているんだ。俺達風紀委員だ。与えられた仕事もまともにできないのか」
「なんだと、てめぇ言わせておけば」
「なんでそんな酷いことばかり言うんだよ!!」
耳元で聞こえた爆音に眉をひそめ音のした方へと顔を向ける。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
96 / 128