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それはまるで牢獄
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わけが解らない!と隔離室に入れられた遠山は憤っていた。
通称隔離室、正式名称を特別懲罰室という。
校則違反を犯し停学処分を受けたものがその日数分ここに入れられそのなかで反省文を書くのがここ。
その期間は人によって様々であり、例えば3日で済むものから1週間以上と長いものまである。
勿論その間この部屋からは1歩も出られない。
そのためユニットバスが隣室に完備されている。
しかし今現在遠山がいる部屋には何もなかった。
壁、床ともに同色で統一されており、しみ、汚れなど1つもない。
壁には装飾品など何もないし、床には簡素な机以外なにもない。その机の色すらまた同じ。
それは怖いくらい純粋な"白"
さすがに窓には鉄格子などはないがどういう仕組みか内側からは開かないようになっていた。
出入り口も1つだけ。
しかしそのドアにも当然のように鍵が掛かっており、常ではないが前には風紀委員が交代で立っている。
ここから出る条件は2つだけ。
1つは停学期間が終った時、1つは退学になる時。
「おかしいおかしいこんなのおかしい!俺が何をしたんだよ!」
そう言いながら目の前に聳え立つ白いドアを蹴る。
ガスガス蹴られたそれは嫌な音を立てるが壊れる気配はない。
こんな派手な音を立てても外から何もないということは今は誰もいない時間帯なのだろう。
もっともこの部屋には時計などないので時間を把握することはできないのだけれど。
「あー・・・!!くそっ開かない!」
遠山は真っ白な床に手足を広げ大の字になった。
ぐぅ~~~
何の音もしない空間に腹の虫の音が大きく響いた。
腹へったなー、見上げる天井もやはり白一色。
もちろんここにいても食事はあたる。
しかし遠山は元来賑やかなのが好きな質だ。
ご飯は皆で騒ぎながら食べるからこそ旨いのだ。
こんな殺風景な部屋で1人で食べたところで味など分からないし楽しくもない。
皆に会いたいなー
帝に
静雅に
海と彗に
廉に
太一に
久しく会ってない遠山にとっての一番の"親友"の顔を思い浮かべていたその時耳がカチリと小さな音を拾った。
次いで動くドアノブ。
それをぼんやり見ていた遠山はもうご飯かと働かない思考の中で思った。
しかしそこから顔を出した思わぬ人物に遠山は目を見開きながら飛び起き次いで破顔した。
「―――っ!!」
そして大きな声でその名を呼んだ。
それには何故ここに、どうして、どうやってなどの疑問がいっさい含まれていなかった。
ただ会いに来てくれたのが嬉しい、それだけで遠山は笑った。
その行動の真意など知らずに。
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