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「ほんとに勉強してるんスね」
図書室に入り浸るようになって3日目。
メキメキと成長する学力を実感しながら4日後の全国模試にむけて、テキストの問題を解いていると。瑪織がウォークマンを持ってやって来た。
「なんで急に勉強なんて、し始めたんすか」
「瑪織と居たいからだよ」
「あんたこの間と言ってること違いますよ」
それは瑪織と一緒にいなくても良いと言ったアレか?
仕方無い仕方無い、あのときは本当にそう思っちゃったんだから。
人の意思なんてトラウマ以外ならなんだってサイコロみたいに、人の手でころころ変わるんだよ。
「な、瑪織」
「…なんすか」
「教える為に来てくれたんだろ?教えてよ勉強」
シャープペンシルの頭でテキストをこつり叩く。
すると気恥ずかしそうに目をそらしながら、俺の前の席に座った。
「あいつが離れるためには、あんたが勝ってくれないと困る」
「それは右に同じくです」
「はいはーい……?え、氷の…」
ハッとして言葉の途中で口を押さえる。
いつの間に居たのか、瑪織の隣には氷の帝王いわく副会長がいた。
「氷の…?」と疑わしそうに笑顔で目を細められ、ヒヤリとした汗が背中を伝う。
「こ、氷の副会長様って呼ばれてたな~って。はは、は」
「へえ…ここでは善良な生徒なんですけど?まあ瑪織いづるが懐くくらいなので、なにか族に関わってるとは思いましたけど」
「……何しに来たんだよ」
瑪織が嫌そうに横の副会長を睨む。
にしても、族に関わってる程度にしか思われてないなら不幸中の幸いだ。
元総長だなんて、今の状況でバレたってなにもおいしくない。総愛されな時にぽろっとバレてこそだよなあ。
「僕は彼に勉強を教えに来ました」
――……え、
キョトン、と目を見開くと
あの綺麗に整った王子様フェイスでにこり笑われる。
「愛しい人と邪魔者を引き離すチャンスですから」
君には何としてでも勝ってもらいます。
そう言いきった氷の帝王にああ、と納得した。
よくよく考えれば今回の勝負で俺が勝てば、リューセイの取り巻きたちは嬉しいに決まってるよな。だって好きな人がまた自分達を見てくれるチャンスなんだから。
「そ…泰浩さんに、教えるのは、僕だけで十分だ。てめえは他所行け」
絶体総長言うなよおまえ怖いよ。
「何言ってるんですか、少しでも頭のいいほうに教えてもらった方がいいにきまってるでしょう?なにより、年上、というのも有りますし」
「そうですね~山とか分かってそうですもんね」
「っ…勝手に、勝手にしろばか!」
「あ、瑪織……」
ばんっ、ガラスの割れるような音をたてながら図書室の扉をしめた彼は、帰ってくることはなかった。
(さあ始めましょうか)
(え本気だったんですね)
(ええもちろん。愛しの琉聖のためですからハゲ…げふんモブとだって)
(悲しくなるから勉強について以外喋らないでください)
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