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あれから模試まで毎日、副会長に教えてもらっているが
わかりやすいのなんのって。
さすが年上だし、何より本人も相当頭良いんだろうな。
にしても心配なのは瑪織だ。
ここ最近、教室にもきてないみたいで今朝クラッカー10本持って部屋に来たホスト教師にきいても「あいつは授業免除されてるから知らねえ」としらを切られてしまった。
クラッカーのせいで未だに奥でキィィンと鳴る耳を叩きながら、副会長との最後の勉強会へと足を進める。
明日はいよいよ全国模試かあ。
「失礼します」
図書室に入っていつもの窓際の席を見ると、すでに氷の帝王はいた。
ただ本を読んでいるだけだろう、でもそこだけ空気が違うみたいで近寄りがたい。
整いすぎた顔、真っ白な肌、綺麗なロイヤルミルクティー色した髪。すべてがその氷の帝王という名の通り、窓の光に溶けてしまいそう。
儚いなあ…と、思う。
「……何してるんです」
本をぱたんと閉じると、振り向きもせずに声をだした氷の帝王。
おまえには後ろにも目があるのか。
「すみません、お待たせしました」
「そうですね。もう時間が無いので今日は山はりで進めます」
「はぁい。お願いします」
定位置に座り、かばんを開くと勉強を教えてもらってるお礼にと買ってきた缶のロイヤルミルクティーとボーロが見えた。
今渡しても邪魔なだけだし、後にしよう。
そう考えて勉強道具だけをだす。
「じゃあ、今日は52ページの問2から―……」
眠たくなる穏やかな声を聴きながら、頑張ること四時間。
俺はかなり進化したよ。
外はもちろん真っ暗で、学園から寮まで20分程度の距離を2人で帰るというのはやりずらい。
やりずらい、と思ったのは初日だけで、実は毎日一緒に帰っていたから今は馴れた。
静かに、ひたすら喋らず
喋るならば英単語の問題とか、化学式の問題とか、そんな。
「今日までありがとうございましたっ、副会長」
でも今日は最後だから、お礼で終わらせよう。
少し肌寒い夜の空気みたいな氷の帝王は、キョトンなんて似合わない顔で俺の差し出したロイヤルミルクティーとボーロをみる。
あほづら…すら似合う。
にしても氷の帝王は色んな表情をするようになったなと、数日で染み染み感じていた。
はじめて会ったときなんて、まあ、喧嘩だったからもあるだろうけど心底冷えた瞳をしていた。チョコレートみたいな綺麗な目が、まるで焼け焦げたように真っ黒にみえて。光なんて一切無かった。
それを、取り戻したのが王道でいうリューセイなんだろうな。
きっと、欲望丸出しな俺じゃ無理だったに違いない。
「なんです…これ」
「勉強みてもらったお礼です。副会長の髪が綺麗なロイヤルミルクティー色なのと、チョコレート色の目。てことでロイヤルミルクティーとチョコボーロ」
指折り数えるしぐさをみせながら、はいっと渡すと案外素直に受け取ってくれた。
「ありがとう、ございます…」
「お礼にお礼で返されちゃった、ははっ…どーいたしましてです」
「変な敬語、減点ですよ」
「うわ、やば。直します直します」
緊張するなーっ明日の模試。
「君なら、大丈夫だから」
「へ」
「自信持ってテスト、受ければいいよ」
は、い。
乾いた声で返事をして、はじめてみた屈託のない笑みに驚いた。
ぶわり、華が咲き乱れた瞬間を目の当たりにしたからだろうか。目が痛くなった。
(全国模試…)
(あれ、眠れない)
(あ、もう日付変わった)
(遠足の時なみに眠れない)
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