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ぷろろーぐ
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「俺、王道になる!」
そう姉に宣言したのはつい3分前。
あれから姉はお気に入りの同人誌開いたまま、女子にしては険しすぎる顔で固まってしまった。
大丈夫だろうか
一応、お嬢様と呼ぶべき成金さと強気さと意地悪さを兼ねそろえた姉。ゴリラと遭遇したときのような顔をするとは思わなかった。
「……あ、んた」
「あ正気に戻った?」
「ぶゎかじゃねえの」
え予想外に口が悪い。
いつもの姉ならまだ「うけるテラワロス」程度かと思っていたのに、罵られるとは。
「あんたねー簡単に小説にコントロールされんじゃないわよ」
俺の手元で輝きをはなつBL小説、それを登場人物がおれと似てるから読めと渡したのは姉じゃないか。
王道と姉が呼んだ凡蔵(ぼんぞう)くんが、きっと俺だ。特に男同士を気にしたことはなかったが姉が勧めるこの小説で心をマシンガンのように打たれたのだ。
学園のイケメンを虜にして、学園を手玉にとったこの主人公に俺はなりたい!
「だって考えてよ姉御」
「気持ち悪いな姉御よぶな」
「……千代ちゃん、俺は金髪だよ、目と地毛黒だけど。だしそれに総長だよ!基本戦わない司令塔なんだけど。あと顔平凡」
あれ、最後のだけ付け足し無いや。
言ってて少し虚しさが残るのは気のせいだと思いたい。
姉にむかって、どこからどうみても王道の雰囲気があるじゃないかと力説して立ち上がる。
「あんた総長とかいってカズ君とマサト君が居なかったら、今頃息吸ってないだろうに」
「それは酷いよ。せめて病院で、息してたよ」
「まああの2人にも散々馬鹿にされてるようですが」
鼻で笑いやがったぞこいつ。
カズ君とは久木和臣(ひさぎかずおみ)、マサト君とは柏原雅人(かしはらまさと)。
どちらも俺の手下!とか言ってみるけど力で勝つのはあっちで、希に言い合いで勝つのもあっち。まあ人生勝ちなしというのも清々しくて良いものだ。
はじめは「国境をまたぎにいこーぜ」の俺の一言で立ち上げられた、中学生ながらの痛い不良チームだった。
何を間違えたか俺等は深夜徘徊で不良に絡まれてしまい、相手のチームがおれを殴ったところから本格化してしまったのだ。
「俺等の総長に手ぇだしてんじゃねーよ!」
和臣がその場のノリであいてをタコ殴りに、雅人が仕方なしに便乗した。
「よぉーく覚えとけ、てめえが噛みついたチームは“ウカンムリ”だ」
だせえ。
つかお前、和臣お前、いつそんな勝手な名前つけたの。
気絶したフリしてたから注意したくてもできなくて、結局漢字の一部みたいな名前になっちゃったけど。
そんな漢字の一部は、
高校にはいる頃には何故か何百人のチームになっていた。
俺が総長のまま。
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