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薔薇門学園入学
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やってきました薔薇紋学園!
バラ…って響きからしていかにも王道学園だよな。
門をみあげながら、馴れない瓶底眼鏡を持ち上げ黒いモジャ毛をなびかせた。
ふっはっはこれで王道準備万端だ。
あとはじーちゃんに協力してもらった通り、美人副会長が迎えに来て、そいつに興味をもたせれば……どうやって?ええとメモメモ。
ぽけっとから(姉著作の)マル秘帳を取り出して副会長の落とし方を読む。
偽の笑顔を見破る。
凡蔵くん風味で言えば「あ、あの…その作り笑い気持ち悪いんでやめてもらえますか?」だそうだ。
よし頑張ろう
「君が、春枝泰浩くんですか?」
意気込んだ直後にやってくるなんて卑怯な。
そう思って顔をあげた俺は、副会長だろうそいつを見た瞬間思考が停止した。
「お待たせしてすみません。僕は副会長の澄川智春(すみかわともはる)です」
その名の通り澄んでる声音に、春の陽だまりのような眩しい笑顔。
ミルクティー色の髪にチョコレート色の瞳。中性的でまさに美人というべき男だ。
だがしかし、俺は知っているぞ。
裏では無表情で人に指図する敵の不良チーム、副総長だということを。
氷の帝王澄川は先輩だったのか…。
いやあ、落とすうんぬんの前に興味を誘うなんて無理です、出鼻を挫かれてしまった。
「どうかされましたか?」
綺麗な手がまるで紳士のように俺の荷物を持ってくれる。
クスリと笑いながら、固まっている俺を覗き込んだ澄川…先輩、は、じぶんのどの顔が一番綺麗か知ってるように。自信に満ちた笑顔をしていた。
きっとこれが偽物笑顔なんだろう。
でも無表情なあの顔より、よっぽど良かった。
それに一度ヤル気スイッチを切ってしまった俺には、凡蔵くんのように指摘する力がない。スイッチを切ったミキサーは回らないものだ。
「な、なんでもないデス……あ 荷物、自分で持ちますよ」
「長旅で疲れてるでしょう。遠慮しないでください園長室までですし」
「あー…り、がとうございます」
こ、恐い。こんなに優しい氷の帝王(雅人いわく氷河期野郎)に鳥肌がたつ。
あとでこの録音を姉に聞かせてあげよ。あ、シナリオ通りにいかなかったことバレるや。やっぱり秘密にして姉には妖精さんに案内してもらったと言っておこう。
「ところで君は、何故こんなカツラを着用してるんですか」
「何をナチュラルに。ええええ。あ、いやちょっと後頭部薄くて」
「ぶっ……ごほ、失礼しました。問ってはいけないことでしたね」
俺的には最後の吹いたほうがイラッときましたけど。
頭にそんなにフィットしてないのかとカツラを再度被り直して歩く。
自分も気になったのか後頭部を触ってる澄川先輩のうしろに着いていき、王道を目指してる俺が先に見破られる立場じゃダメじゃないかと落ち込んだ。
あと澄川先輩はハゲてないから安心しろよ。
更に言えば別に俺もハゲてなかった。
(着きましたよ、ハゲ…春枝君)
(完璧に言ったよそして無かったように笑顔だよ。うわあああ)
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