アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
オシャンティの意味がわかったのは寮の管理人さんと話してからだった。
随分と若い糸目なその人は柔らかい声音で「おしゃれって意味だよ」と簡潔に述べるから、何か流行りの言い回しなんだろうなと納得した。
「君の部屋は一人部屋でね、キッチンもテレビもついてるから楽しみでしょ」
「すみません、どの辺に楽しさを見出だすかわかりません」
だって一人って!
一匹狼くんはどうしたのじーちゃん、俺を王道にはさせないという去り際の台詞は本気だったのか。はたまたこの学園には一匹狼くんがいなかったのか。
でも、それを置いてもキッチンやテレビで喜ぶ俺じゃないぞ。
「ほら、テレビとかって二人部屋だとよく喧嘩になるんだよ。共同のスペースに一台しか置いてないから」
「ほぉう」
とか言われたって、これ以上目が悪くなっても困るしテレビは何気無くついてる程度でいい。
まあ決まってしまっているなら部屋割りに文句は言わないけど、友達っつうかイケメンとの接触ポイントがまた減ったなー。
フラグが次々折れてゆく。
「どのくらいの音量で歌うと隣に響きますか?」
長く広い深紅の絨毯が敷かれた廊下で無言はさみしくて、居たたまれなくなったので他愛もない質問をしてみた。
こちらを少しみて(糸目でわかりにくいが)軽く微笑むと、口を開く。
「ベッドの上で?」
「え」
「喘ぐ歌声?」
「え」
「大丈夫、防音だから」
なんでそうなったんですか。
穏やかに下ネタにいかれたのでミステリーサークル創ってた時に、後藤が間違えてお花描いてた時みたいな反応になった。
どちらとも顔に似合わないところがこの反応を導きだしたのだろう。大したツッコミも出来ずに眼鏡を直す。
「じゃあ、壁の色とか何色ですかねえ」
下ネタに触りない話題に変える。
「かかっても良いように、白」
え なにが?
なにがかかってもなのか物凄く気になるが、これを問うと確実に寮長のイメージが壊れるのでやめた。
こんな優しい微笑みしながら頭の中はパッションピンクかこいつ。
ちらりと首からぶら下がった名札をみた。
永倉裕吉(ながくらゆうきち)。
うわ諭吉さんだとか1万円だとか目を見開いたときには、新しい自分の部屋の前についていたみたいで、立ち止まった諭吉さんに肩からぶつかった。
「がおふっ!」
タックルしたおれの方に衝撃が来たのは何故。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 24