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Episode2 『不登校の登校日』 ④
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高校には行かなくなり、外へ喧嘩に出た。
でも、俺に敵う奴は誰一人いなかった。
夜に耳障りだったお気楽頭の暴走族も消したし、
王生組に因縁つけてきた暴力団も潰した。
48代目はそんな俺を黙って見ていた。
そんなことを繰り返していたらもう3年も経っていた。
そして、高校3年生も終わろうとしていた時、
ある一人の男の名を知ることになった。
俺には幼馴染の藤沢 匠(ふじさわ たくみ)という男がいる。
「タク」は王生組と長い付き合いのある藤沢家の人間だ。
48代目側近の息子でもあるため、おそらく、時期組長の俺の側近になるだろう。
気安く俺と言葉を交わす人間もアイツしかいない。
『皇ちゃん!元気にしてるか~?』
ある日、鬱陶しい程の明るいテンションで、携帯にタクからの留守電が入っていた。
『んで、朗報だよ。まず一つ目、俺と皇ちゃんは仲良く留年決定』
「………」
それのどこが朗報なのが理解できない。
タクの留年原因は出席どうこうではなく、勉学の方だろう。
タクは、同じ高嶺桜高校に通っている。
いつも俺にベッタリだったタクに、俺は学校の様子を観察してろという適当な言い掛かりを放ち、タクを頻繁に学校に行かせていた。
『んで、二つ目…皇ちゃんが久々に楽しめる玩具が、高嶺桜にいる』
タクの声色が先程とは異なり、低くなる。
それは今の言葉が嘘ではないことを示していた。
『名前は』
あまりにも退屈である時期が長過ぎたせいで、俺はまだ姿も見ていない、声も聞いていない存在相手に興奮していた。
俺を楽しませてくれるであろう男の名は――…
『霧間 慎弥』
「キリマ…シンヤ…」
熱くなる胸を自制しながら、俺はその名を繰り返した。
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