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朝から静かに降る雨に嫌気がさし始めていたある日、クラスに転校生が来た。淡い水色のカッターシャツに身を包み、カーディガンはサイズが合っていないのかややブカブカだった。そのカーディガンの上からもわかるほど線は細く、色は白い。グレーの瞳は伏せられていて表情はよく読み取れない。それでも男にしては綺麗な顔をしているからか、クラスの女子はヒソヒソと顔を赤らめて話している。大層な転校生が来たものだと、その時は特に何も感じなかった。
「それじゃあ、寒川くんはあそこの席ね」
クラスの担任の先生が指を指した先は俺の横。奇数だったウチのクラスは俺が1人余るように配置されていた。窓際の席だったから別に不満はない。今日からは隣ができるというわけだ。
返事をするでもなく静かに隣まで歩いてきた寒川は、俺を視界に入れて少しだけお辞儀をした。
「よろしくねー寒川」
「よろしく…」
「俺、渡瀬涼介」
「寒川、あゆむ」
5月なんて半端な時期に転校してきたなあ。どんな奴かなあ。なんて呑気に考えていたけれど、多分病気か何かだろう。色は白いし線は細い。納得できる。
1人でそう結論づけたところで、授業開始のチャイムが鳴った。
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