アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
拒む。
-
ガンッとした強い頭痛を感じて目を覚ます。
天井。そしていつもの匂い。
あぁ、俺は……死ねなかったんだ。
「…………」
声も出なくて、手は自傷行為をしないようにするためなのかベッドに括りつけられていた。
もう抵抗する力も残っていない。
一生死ぬ事が出来ないまま、ここで抱き続けられるんだろうか。
いや、その前に捨てられるかもしれない。
怖くない。
痛くない。
辛くない。
全部俺が招いた結果。
罪を償うんだから、一生をここに掛けてしまっても。
二年前に選んだ選択肢は間違っていたのかもしれないけれど、今更変えることの出来ない過去。
抗ってもどうしようもない過去なんだ。
「起きたかい遙」
そばに居たのか、部屋に声が響いた。
「……」
頷いて静かにその目を見る。
「死ねなくて、残念だったね」
俺を見下ろす目は冷たい。
病室から俺を連れ出す時のように。
「俺が死なせない。殺すなら俺がこの手で殺めてあげる。やり殺してあげる。自分で死ぬなんて許さないよ」
この数日で何度も聞いた、許さないという彼の言葉。
許されないことを俺がしたなら。つまりそれは……
俺が関わった全ての人の死か。
それに準ずるものか。
何れにせよ、拒否権はないらしい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
109 / 114