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過ぎる時間。
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「龍之介」
「……逸人か」
机に突っ伏して何時間も顔をあげない龍之介は、以前より少しだけ痩せたような気がする。
時間が経つのは早い。
遙が消えて…2ヶ月が経とうとしていた。
高野も龍之介も、そして俺も。
この2ヶ月ひたすら遙を探したけれど、まるで故意に隠されたみたいに何も出てこない。
本当に何も、出てこない。
何か関係があるはずの校長は、1ヶ月前に"失踪"したらしい。
現に、副校長が繰り上げで仕事をこなしているようだった。
「何か食べてよ」
「いらない……って言いたいけど貰っとく…」
「ん」
いくつかパンを買っておいて正解だった。
憔悴…とまではいかないものの、完全に遙のことでこうなってる。
寝る間も惜しんで探して……何の手がかりも出ないなんて。
龍之介に見えないように、静かに手をグッと握る。
開いた手のひらには、爪の跡がくっきりと残っていた。
……そろそろ、爪も切らないと。
それから自分もちゃんとご飯を食べないと。
龍之介の事ばかり心配しているようだが、自分だって食べてないし体重は前よりも減った。
このまま……遙は見つからないのか。
一生。
お互い、その方が………。
「早く、見つけてやらないと」
不意に龍之介がそんな事を言った。
龍之介はまだ、諦めてはいなくて。
「そうだね。今日も高野のとこ行こう」
長い間動かない状況は、案外急に動いたりするものだ。
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