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聞こえてきた、声。
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「遙は自分が誰のものなのか、わかってる?」
「……」
校門の前で、いつもより一段と怖いその瞳に見下ろされる。
傷口が疼く。
龍之介ともう一度…話がしたい。
あの時みたいに、みんなと話がしたい。
「聞いてるの?遙。……あぁ、傷が痛いんでしょう?あの大きさならまだ血は完全に止まってないはずだよねぇ」
力も入らずただ血を隠すことの役割を果たしていた腕をどけられると、制服にはベッタリと血がついていた。
「あーあ、すごい血だねぇ……」
話すのが怖いのか、口が開かない。
「…………」
「ねぇ遙、ひとつ聞くけど。……さっき屋上にいたもうひとりの……龍之介君かなぁ?……誰?」
「と、…友達……です…………」
「確かに遙から見たらそうなのかもね?でもなんか……龍之介君から見たらそうじゃない気もするねぇ」
「……」
どういうことなんだろうか。
「とりあえず遙?行くよ」
「……はい…………」
近くに止めてあった車へと連れていかれる。
屋上から走って校門まで来たせいなのかはわからないが、視界がグラグラとして定まらなかった。
そんな時、
「待ってください」
後ろから聞こえてきたのは…彼の声だった。
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