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生徒へ。
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目の前の生徒は、華奢な体で精一杯にもがいて病院を抜け出そうとしていた。
だが病人の体力なんてたかが知れている。
薬のお陰で眠りにつき、落ち着きを取り戻した顔を手の甲でスッと撫でてやった。
「俺達は大丈夫。お前みたいな奴に守ってもらわなくても、自分のことくらい自分で守るから心配するな。先生ってのは生徒を守る仕事でもあるんだ。だから俺は龍之介も、逸人も、そしてお前も守らなくちゃならねえからな。あんま無茶すんな、俺に迷惑がかかる」
静かな病室には自分の声しか響かない。
死んでいるんじゃないかと心配になるくらい、か細い呼吸。前よりも痩せて、顔色も悪い。
そんな状態でも綺麗だと思ってしまうのは、きっと疲れのせいなのだろう。
さっきの言葉の意味を知るまで、この件から手を引くわけには行かない。
一ノ瀬という男。
そこに何故か絡んでくる、校長。
こんな一般生徒と何の関係がある?
「あーダメだな。徹夜明けは頭が回らない……」
そう、今はここにいる場合じゃない。
「また来る。ゆっくり休め」
俺が考えているよりも大きな相手かもしれない。
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