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冷たい。1
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「ここって……」
連れてこられた場所は、予想もしていなかった場所。
「いつもの家だとすぐ逃げられそうだから、どうしようかなぁって考えたんだけど。ここで鎖に繋いでおいた方が色々便利だと思ってね」
倉庫のような広い場所を通って、さらに奥の部屋。
誇りっぽい、人が誰1人入ってこなさそうな場所だった。全てコンクリート造りのところから察するに、外に声が届くこともないのだろう。
暗い。
「一ノ瀬さん、俺逃げないから……っ!」
そういった瞬間、後ろの壁に背中を打ち付けられた。
目を開けば至近距離に一ノ瀬さんの顔。少し苛立ち混じりの表情をしていた。
「嘘をつくのも大概にしてほしいよ遙。散々逃げたくせに、今更信憑性の無いことを言わないでよ」
その通りだと、思った。嘘をついていたのは自分か。これは全部、俺が招いた結末だ。
「……ごめんなさい。…俺は、これから此処で生きるんですね」
一ノ瀬さんにそういえば、彼はその表情を和らげた。
「そうだよ、大丈夫。毎日俺がついてるからね」
彼のことだ、気が変わったら俺を殺すかもしれないし。もしかしたら本当に一生ここで2人かもしれない。
助けが来るなんてことはもう有り得ない。…いい加減、逃げ道は無いのだとわかるべきだった。
ー自覚しろ、俺は彼のモノ。
彼のモノだ。
彼の顔が近づいてくる。そういう事をするのだと、察した。
「そ、もっと俺を受け入れて」
どうしてだろう俺。…こんなに狂気に満ちている人が目の前にいるのに。
……自分から口を開いてしまう。
「ん…」
「誘い方も上手」
舌を絡めあって、水音が部屋に響き渡る。恥ずかしさは増していくのに、冷静な判断はできなくなっていく。
「んっ、…ぅ」
一ノ瀬さんはキスも上手いから、簡単に流されてしまう。
今までの分を取り戻すように、キスをしてくる。噛み付くようなキスを受け入れて。
すぐ横にあるソファーに体を押し倒される。
こんな冷たい場所。ソファーのみの部屋。俺にとって一番怖い相手。
それなのに……
「一ノ瀬さん…、お願い…はや、く……」
求めているのは、俺の方なの……?
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