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ヌクモリティその5
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帰り道、公園の前を通りかかると子供の泣き声がした。大丈夫かな、と思って公園に入ると小さな男の子が泣いている。コケたようだ。
母親は近くにいないみたいだし、助けてやらなきゃな、と思って近づこうとすると俺より俺の逆方向からやってきた奴に男の子が抱き起こされた。
思わず遊具に隠れる。男の子を抱き起こしたのは高畑だった。
何で隠れてんだ俺......。割と近い距離にいたのに高畑は俺には気付いてなかったようで男の子に話しかけている。
「大丈夫かコラ」
えー、何でコラつけちゃったんだろう......。ミー子の時よりちょっと顔が険しく見える。
「こけたの......痛いよぉ」
「ママはどうした?」
「ママ、お買い物行って来るって......たけくんと遊んでたのに、たけくん仮面ライダー始まるからって帰っちゃったの......」
「そうか......膝から血が出てるな、バイキンはいらないようにしような」
そう言うと、高畑はマキロンと絆創膏を鞄から取り出した。持ち歩いてんのか? 女子力高い......
ティッシュで男の子の血を拭ってやったあと手際良く手当していく。慣れてんだなぁ......
手当が終わっても男の子はまだ泣いている。高畑は眉間にしわを寄せている。それじゃ男の子怖がるだろ!!
ここは俺が出ていった方が......
そう思って少し歩みよったところ高畑はまた鞄から何かを出した。タッパー?
「クッキー食うか?」
「ふぇ?」
「手づくりだ」
「食べる!! 僕クッキー大好きだよ」
高畑が大判のタッパーを開ける。そこには動物の形のクッキーが入っていた。もしかしてあれ、高畑が作ったのか?
「おいしーい!! お兄ちゃんお料理上手だねぇ」
「そうか......」
男の子が泣き止んで安心したのかふ、と表情を緩ませる高畑。クッキーを食べて上機嫌の男の子が、ぱっとこっちを見て俺と目が合った。
「そっちのお兄ちゃんもクッキー食べたいの?」
「えっ!?」
男の子の言葉に顔を上げた高畑が俺を見て固まる。わーいデジャブ。
もうこうなったらしょうがない。ニコッと笑って近づいていく。
「そうそう、俺もクッキー食べたかったんだ、な、1枚いいだろ?」
眉間にしわを寄せた高畑は無言で頷いた。あ、ダメ? いやでも頷いたし嫌でも貰うもんね!!
象のクッキーを一枚もらって食べる。さくっと音を立てた。
「うわ、うま 売り物みてぇ......お前本当料理上手だな」
正直、莉沙子ちゃんのより美味しい。
高畑は何も答えず眉間のシワだけ濃くして俯いた。え、ダメ? ダメだったのか......料理上手って言われたくないのか。
「お兄ちゃん遊ぼー!!」
どんっと男の子に抱きつかれる。高畑はしゃがみこんだままだし遊んでやるぜこんちくしょう!!
「何する?」
「ブランコ!!」
「高畑、わりい鞄たのむ」
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